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映画・演劇のレビュー

緑風冠高校『うさみくんのお姉さん』

2017-07-28 21:23:15 | 演劇

 

1日前の関大一高を見た後だから、分が悪い。同じように「学園もの」で、主人公の正義感が主題となる。だが、台本のレベルにあまりに歴然とした差があり過ぎて、これではちょっと気が抜ける。だが、もちろん、これはこれで悪くはない。それどころか、実によく出来ている。

 

ちゃんと作り込んだ美術も好感が持てる。高校の教室というよくあるパターンなのだが、椅子と机を並べて終わり、というよくあるパターンにはしない。壁やドアがある、黒板がある、という当たり前のことがちゃんと生きている。

 

放課後の教室という空間を大事に再現しようとする姿勢は素晴らしい。台本自体がちゃんとそれを望んでいる。教室から見る夕日の美しさ。そういう小さな設定をお座なりにしないのがいい。

 

うさみくんは主人公ではない、のもいい。本来ならこの芝居の脇役のはずの彼のお姉さんがどんどん前面に出てきて話を引っ張っていくという展開も上手い。ただ、3度も繰り返す「アンパンマンの歌」に頼りすぎた。あの歌の歌詞に注目し、見逃すところを、見逃さない、というのは、いいと思うけど、もう少し何かが欲しい。

 

キーマンである少年を演じた木村先生(このクラブの顧問の先生だ!)が凄い。まるで高校生にしか見えない。完全にこの世界になじんでいる。高校演劇で、ここまで芝居に違和感なく溶け込む大人を初めて見た。この芝居最大の驚きはこの彼の存在だ、といっても過言ではあるまい。

 


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