実をいうと最初はあまり乗れなかった。読みにくい。エピソードが飛びまくるので。小説としては下手だな、と思った。しかもなんか嫌な話だし。もう読むのをやめようかな、とも思った。でも、我慢して読んでいくうちに、やがてこれは確信犯なのだと気づく。そして後半、だんだんこの小説のタッチが理解できてくる。そうすると面白くなってきた。そういうことだったのか、と思う。主人公の抱えるもどかしさ。それが描かれていたのかと . . . 本文を読む
ミュージカル映画なのだけど、こんなミュージカルは今までなかったのではないか。歌ってはいるけど、踊らない。それどころか、主人公はひとりで自分の心情を自分に向けて切々と語りかけるばかりだ。誰にも心を開かない。開けない。コミュニケーション障害を持つ青年が、同じように人と接することができない同級生と出会い、お互いに拒絶してしまう。ひとりは他者から逃げる、ひとりは他者に怒りをぶつける。そして、ひとりは自殺す . . . 本文を読む