さまざまな若い劇団を初めて見るのは楽しい。たまたま布施のPEベースの芝居を見ることになった。これからここにやって来る劇団がどんな芝居を見せてくれるのか、楽しみだ。彼らがどんな風に芝居と向き合うのか、また、そこで今までなかったようなパターン、誰も知らない(思いつかない)アプローチをする場面があるとうれしい。新鮮な驚きと出会う(可能性)を享受したい。
さて、今回のこの集団もそんな可能性を秘めた劇団だろう。旗揚げ第2作。ちょっとしたSF。ただあまりにお話がシンプル過ぎて、内容がない(伝わらない)。世界観の提示も曖昧でわかりにくい。理屈っぽいのは嫌いだが、いいかげんな設定ではシラける。そのへんのバランス配分が難しい。
主人公はある施設から脱走して、かつて暮らしていた108居住区を目指すノノとラン。ふたりを連れ戻すために追いかけてくる組織の上官たち。芝居はこの両者の動向を交互に見せていくが、そこには緊迫感がない。逃げる者と追う者のせめぎ合いがないのでスリリングな展開にはなっていかない。さらにはあまりに単調な展開で、お話にもまるで捻りがない。だからたった1時間10分が長く感じる始末だ。
この世界がどうなっているのか、そこで何が起きたのか、だからどうなっていくのか、主人公の背景をもう少し描き込む必要がある。それがないから、逃亡劇に緊張が生じない。たった5人のキャストでもいいが、そこに緊迫するドラマを見せたい。ラストの再生への第一歩も安易な結末にしか見えないのは残念だ。自分たちが作りたいものは明確にある。それをまだ上手く形に出来ない。だからきっと次こそそれが可能だと信じたい。頑張ってください。