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映画・演劇のレビュー

『チェ 28歳の革命』

2009-01-11 20:09:32 | 映画
 なんとTOHOシネマズ梅田は1番スクリーンで上映していた。それだけ客が入ると見込んだのか。封切り2日目日曜の朝だがガラガラだった。だいたいこういう映画は全国拡大公開ではなく、ミニシアターで上映すべき作品だったのではないか。まぁ、僕は大スクリーンで見れてラッキーだったのだが。映画がシネスコだったのもうれしい。(続編の『39歳別れの手紙はビスタサイズらしい)

 さて、映画である。実に面白い。チェ・ゲバラ(ベニシオ・デル・トロ)がカストロと出会い、キューバ革命を成し遂げるまでが、国連での彼のスピーチを挟みながらも淡々としたタッチで描かれる。これは同じように2部作構成の大作映画だが『レッド・クリフ』のようなスペクタクルではない。彼がいかにして革命を成し遂げていくのかを、ドキュメンタリーのような客観性を持ち描く。ゲリラ戦の模様や、兵士たちの教育の様子を作為的な描写を排して、実に丁寧に見せていく。それはクライマックスの市街戦の様子を描くシーンにも明白だ。勇ましい戦闘シーンをスペクタクルとして見せるのではない。ありのままに近い形で再現するに止める。

 ソダバーグは、この映画を通してチェという人間の軌跡を冷徹に追いかけていく。あまりにさりげないラストシーンは、これが2部作であるからではなく、ソダバーグのこの映画への決着として受け止めたい。ハバナへの道を車を走らせる彼は革命を今成し遂げたのではなく、ここから始まると位置付ける。規律を大事にする。戦場のドンパチが革命ではない。革命は国民の幸福を成し遂げるためのものだ。大事なのは戦いに勝つことではない。みんなが望む国を作ることなのだ。そのためには戦いも辞さない。それだけのことなのである。これは英雄伝説なんかではない。

 これはあくまでも独立した映画である。だが、同時に連動した映画でもある。続編を一刻も早く目撃したい。

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