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映画・演劇のレビュー

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』

2024-07-05 05:22:00 | 映画

アレクサンダー・ペイン監督久々の新作は1970年の冬が舞台となる。寄宿制の中高一貫校。楽しみなクリスマス休暇で家族のもとに帰る子どもたち。だけど、寮に残される子もいる。そんな5人と彼らの世話をする役目を担うことになった偏屈で嫌われ者の先生。

 
まぁ昔ながらのよくあるパターンのお話であろう。もちろん心温まるハートウォーミングである。だけどそんなオーソドックスをペイン監督は嬉々として楽しみながら作っている。クリスマスの日に向けてゆったり流れるドラマ。心地よいメロディ。
 
5人がたったひとりになり、(ある生徒の父親が迎えに来て、家族の許可ももらえた3人もバカンスに同伴した!)気の合わない先生と、食堂の女性の3人になる。ここからが映画は本番突入。3人それぞれが抱える問題が見えてきて、やがてクリスマスの日になる。
 
これもまた『バッド・ボーイズ』とは別の意味でだが、安心して見ていられる映画だ。ある種予定調和。そしてこれもまた、新機軸はない。だけどこちらはとてもいい映画に仕上がっている。映画の出来不出来はやはりかなり微妙な問題だと改めて思う。古いアメリカ映画(アメリカン・ニューシネマ!)の伝統を引き継ぎ、昔ながらのオーソドックス・スタンダードを現代に再現した。この心温まる小さな傑作にそれなりにたくさんの観客が集まっているのもうれしい。こんな地味な映画がちゃんとヒットしているようで。

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