第25回ちゅうでん児童文学賞受賞作品『まないきサイクリストと、ブルーライン』を改題して出版。それだけで少し作品としてのスケールが大きくなった。
生意気な4年のガキ、榊原風馬と、夏休みにしまなみブルーライン140キロを走破する6年の僕。無謀な旅。ふたりで日帰りで尾道から今治までの往復。だが、それはあまりに考えなしの行為だ。だけど彼らは瀬戸内海を走り抜け今治までやって来た。風馬がここに来たかった理由が見えてくる。両親が離婚した後、別れ別れになった父と姉に会いに行くため。体の弱いまだ子どもでしかない彼のサポートをして同行した僕だってまだ子どもである。
作品自体は残念だが、たいしたことはない。読みやすい児童書の域を出ないのだ。ふたりの旅にそれ以上の意味を込めることはできていない。ただ気持ちのいい作品ではある。