先日ようやく(この映画を見るために)見た『ニワトリ★スター』の続編。というより、姉妹編。でも、タイトルにある「星」の色に象徴されるように、この2本は表裏一体の関係にある。ネガ・ポジ状態なのだ。今回は重くて暗くて悲しかった前作とは違い、明るくて楽しくて(レコードならA面で、だからこれが表面であろう)彼らにとっての「理想」が描かれる夢物語である。(だから、あの前作は「現実」だったのだ、と改めて気づく)
あの自由気ままな生き方をする主人公2人組が、火の鳥を探すためにある日自由気ままな旅に出るというロードムービーである。成田凌演じる楽人は前作で死んでいるんだけど、ここでは元気に生きていて、井浦新演じる草太とふたり行く当てもなくオープンカーを走らせる。(この映画で、前作で幼なじみだと言っていた、彼らの年の差が6歳だったという事がわかった。沖縄と大阪と出身地が違うはずなのに、なんで幼なじみなのかもわかった。前作でははっきりしなかった部分もここでは描かれる。まぁ、そんなこと「それがどうした」というくらいにささやかな話なのだけれど)
前作の主要登場人物がそのまま続投する。死んでいたり、いなくなっているはずだったりするのに、彼らは、ある時は別人として、また、ある時は夢のなかで出てくるように登場したりもする。だいたいこの旅自体がまるで夢の出来事なのだ。今回もアニメーションを交えたタッチは健在。えぐい描写は少し控えめ。幻のフェニックスを探して、行き当たりばったりの旅を続ける。
ラストで描かれる結婚式のシーンが素敵だ。こんなにも素敵な時間があればいいな、と思う。現実ではなくすべてが夢の中の出来事であることは、最初からわかってはいるのだけど、それでも夢の中でもハッピーエンドが描かれるのがいい。そういうところも前作と同じだ。かなた狼監督は、このめちゃくちゃな2作を通して、自分らしく生きることの大切さと友情の美しさを誠実に描いてくれた。冗談のような映画だし、過激すぎるし、バカバカしいけど、その底に流れる生真面目な本音が透けて見えるのが微笑ましい。