『何者』の続編。短編連作によるアナザーストーリー。最近よくあるパターンで、『何者』の主人公たち(あれは群像劇だった)を別々にして、主人公、または脇役に設定しての6つのお話。前作を読んでからかなり日が経つから誰が誰だかあまりよくはわからない。だから、ほとんど単体の短編を読む気分。でも、それぞれ面白いからいい。
タイトルロールの『何様』は企業の面接官を主人公にした話で、就活をする大学生たちを主人公にした前作のアンサーソングとなっている。6つとも面白いがこのラストの1作が白眉。この痛みには胸が傷む。立場が違っても同じ人間だ。でも、ほんのちょっと位置が違う、時間が違う、それだけで、こんなにも変わる。真反対にすらなる。
誠実と不誠実のほんのちょっとした落差。それだけで真反対になる。それで合格不合格が決まる。考えるまでもなく、不条理だけど、それが現実だ。そんなところで人生までもが狂わされてしまう。でも、人はそんな現実と向き合い、生きていかなくてはならないのだ。