『きっと、うまくいく』はすごかった。こんなインド映画が見たかった、と思わせるような傑作。インドらしい過剰過激なエスカレートが、想像を絶する世界へと僕たちを誘う。ザ・インド・エンタメ・スペシャル。
あの作品の監督、主演コンビであるラージクマール・ヒラーニ監督と、インド映画界のスターであるアーミル・カーンが放つ本作は、宗教をネタにして、ここまでしても大丈夫かと不安にさせられるくらいにやってしまう過激な映画。でも、本人たちは実に無邪気で、けっこう平気にしているのだ。まぁ、作品としては、前作を超えるとは思わないけど、内容自体の強烈さでは、前作をも凌ぐ。
「pk」って「酔っぱらい」のことで、宇宙人が地球にやってきて、神様を探してインドを旅する話。まぁ、彼は酔っぱらいってわけではないけど、周りからはそんなふうにしか見えない。だいたい人間とそっくりの宇宙人という設定からして、ふざけているような、まじめなような、よくわからん。
それより、何より神様の存在をここまで本気で茶化すなんていいのか。もちろん、彼らは一見すると、茶化しているようにも見えるけど、実は本気。でも、こんなふうに本気でやられると、それぞれの宗派の人たちは困惑しないのか。見ていて僕らが心配になる。でも、映画はきっと大丈夫、と言ってるようで、いいのか、これで、という僕らが心配性すぎるのか? 宗教の問題って微妙なもののはずなのに、しかも、インドなのに、ここまでする。なんだか、凄すぎる。
ラストで「人と動物の違いって、矛盾だと思う」と千早は言う。受け入れること。それがどんなに理不尽なことであろうとも自分の心でそうしたいと思えること。その先にはきっと未来がある。