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映画・演劇のレビュー

『テルマエ・ロマエ』

2012-05-22 21:22:28 | 映画
 平たい顔族プリンスを上戸彩が演じる。これはナイスなキャスティングだ。というか、彼女はプリンスではなくただのヒロインなのだが、彼女を王女さまに設定しても面白かったのではないか。大体、平たい顔族というネーミングが素晴らしい。予告編を見た時から、あの「顔が、平たい!」という阿部寛の驚きの声が、耳に張り付いて離れなかった。あれだけで、この映画を絶対に見たい、と思った。銭湯にいる老人たちの平たい顔もすごい。あのキャスティングの勝利だ。阿部ちゃんは、前半、ほとんど裸のシーンばかりだ。全裸で大奮闘する。文字通り身体を張った演技で魅了する。上戸彩は本当に平たい顔美人だ。

 それにしても、こんなバカバカしい映画を平気で作れる神経って凄い。日本映画界もここまで冗談が通じるようになったのか、と感動した。TV局が作る大作映画を散々バカにしてきた人たちは反省すべきだ。ローマのチネチッタ撮影所のオープンセットで一大ロケーションを敢行したらしいが、壮大なスケールでこのバカな話を作り上げた。あっぱれだ。これを中途半端なスケールでみみっちくやられると、目も当てられないものになったはずだ。このスケールで、このバカを本気でするから、ちゃんと笑えたのだ。

 西洋人に交じって4人の日本人キャストがちゃんとローマ人を演じている。4人とも濃い人たち(阿部ちゃんと市村正親、北村一輝、宍戸開だ)だが、堂々としていて素晴らしい。吹き替えの西洋人に交じって日本語でローマ人を演じるのもいい。こういうアホらしさはちゃんと徹底させなくてはいけない。現代の日本のシーンでは、阿部寛はほとんどしゃべらないけど、喋るときにはきちんと外国語(ラテン語と言ってた!)を話すのだ。そこも笑える。

 前半の3章までが、素晴らしい。①銭湯、②ユニットバス、③ショールームでの泡ぶろとか、トイレとか。ここまでが、本当に笑える。さすがに、それ以上にはこのペースの短編連作スタイルでは話を作れないから、この後は上戸彩と阿部寛によるローマでの話になるが、それでも最後まで、なんとか持ち堪える。立派だ。これだけの予算を組んで、壮大なスケールで、このアホな設定のマンガを映画化する。そういう試みができるのが、今の日本のメジャー映画の強みだ。そして、これがちゃんと大ヒットする。そこも凄い。

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1 コメント

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Unknown (がっちゃん)
2012-05-24 16:38:40
はじめまして。
昨日この映画を見たばかりで、ほかの方の感想が気になってググってみました。
私は漫画(原作のファン)なので、最初は心配してみたんですが、すごく楽しかったです。
よかったら、トラックバック送って下さいね。
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