今回のLINX'S はとてもコンパクトにまとまっていて、流れ方がスムーズで見やすい。6回目ということもあり、スタイルが確立できたことが大きい。選ばれた劇団もバラエティーに富んでいるが、最初に見たBプロの完成度の高さは特筆に価する。
4集団のテイストが似ていて、エンタテインメントとしての方向性が明確なので、見やすくなっている。スピード感があって後に何も残さないのもいい。キャラクターの特異性で引っ張っていくニコルソンズの『キリヤさんVSゾンビ』が出色の出来だ。もちろん主人公のキリヤさんが凄い。それは、演じた火野蜂三の魅力だ。キャラクター造型はもちろんのこと、でもこれは彼の持ち味だろう。その存在感は半端ではない。周囲の仲間を怖れさせるだけではなく、ゾンビたちに対してさえ情け容赦はない。そんな彼の優しい心情を吐露するラストのオチも実に上手い。短編としては理想的な展開だ。
オープニングの2VS2によるコントも笑えるし、一番手となった壱劇屋のペットボトルを使ったパフォーマンスには驚かされた。とてもスマートでよく出来ている。たわいもない話なのだが、ここで大事なのは話なんかではないのは当然のことだろう。このシチュエーションで何をどう見せるのか、だ。つかみとしては最高で、この後に、ニコルソンズが来る。
休憩を挟んで、後半も北京蝶々が、まず、この春東京で上演した新作である『オーシャンズ・カジノ』を100分の完全版から20分に凝縮して見せる。とても贅沢なプログラムだ。エンタメ芝居だからストーリーもわかりやすくダイジェストで損なわれることはない。本公演での雰囲気が確かに伝わる。そして、ステージタイガーは『協走組曲第二楽章』を惜しげもなく見せる。
ダンスパフォーマンスを中心としたプログラムなので、何も考えなくていいし、見た目も派手で楽しい。プレミアムアクトとして登場したテノヒラサイズのコントも、ブラックタイツの歌と踊りも含めて一気に見せる3時間だ。
それに対して、Aプロは少し苦しい。前半のニュートラルとバグダッドカフェの短編はこの企画になじまない。彼らの、このとても静かな作品は、じっくり見せる場でなくては機能しない。この前半部分に置かれた2作品は、全体の中からきちんと隔離して観客に集中して見てもらうような配慮が必要だ。2本ともチャーミングな作品で、大沢さんも泉さんもリンクス参戦を前提にして作られたものだということは、重々わかるのだが、それでもこの空間の気分にはなじまない。こういう繊細な作品を挟み込むためには、見せる場の空気も考えての演出が必要だ。
後半登場する梅棒のパフォーマンス見るためにやってきた観客にとっては、あの1時間はしんどかったのではないか。最後のバンタムクラスステージの作品も、ムードで引っ張っていくものだから、じっくりとこの世界にはまり込めなくては見ていられない。しかし、梅棒の直後では、気分の切り替えが難しい。要するにそれくらいに梅棒のインパクトが大きいという話なのだ。彼らは舞台を縦横に使い、圧倒的な迫力でノンストップのダンスパフォーマンスを見せきる。単純な筋立てのスポ根もので、定番を踏まえるストーリーラインが心地よい。この日のアラカルトアクトはアドシバだけだったが、この軽さは、このプログラムにとってちょうどよかったのではないか。
全体のバランスをきちんととることはとても難しい作業だと思うが、そのへんも含めて、石田さんにはちゃんとプロデュースしてもらいたい。ストーリーで見せるものをどう扱うかが、今回だけでなく、これからのLINX'S の最優先課題だろう。せっかく集めてきた魅力ある8集団である。これを生かすも殺すも全体の構成しだいなのだ。
4集団のテイストが似ていて、エンタテインメントとしての方向性が明確なので、見やすくなっている。スピード感があって後に何も残さないのもいい。キャラクターの特異性で引っ張っていくニコルソンズの『キリヤさんVSゾンビ』が出色の出来だ。もちろん主人公のキリヤさんが凄い。それは、演じた火野蜂三の魅力だ。キャラクター造型はもちろんのこと、でもこれは彼の持ち味だろう。その存在感は半端ではない。周囲の仲間を怖れさせるだけではなく、ゾンビたちに対してさえ情け容赦はない。そんな彼の優しい心情を吐露するラストのオチも実に上手い。短編としては理想的な展開だ。
オープニングの2VS2によるコントも笑えるし、一番手となった壱劇屋のペットボトルを使ったパフォーマンスには驚かされた。とてもスマートでよく出来ている。たわいもない話なのだが、ここで大事なのは話なんかではないのは当然のことだろう。このシチュエーションで何をどう見せるのか、だ。つかみとしては最高で、この後に、ニコルソンズが来る。
休憩を挟んで、後半も北京蝶々が、まず、この春東京で上演した新作である『オーシャンズ・カジノ』を100分の完全版から20分に凝縮して見せる。とても贅沢なプログラムだ。エンタメ芝居だからストーリーもわかりやすくダイジェストで損なわれることはない。本公演での雰囲気が確かに伝わる。そして、ステージタイガーは『協走組曲第二楽章』を惜しげもなく見せる。
ダンスパフォーマンスを中心としたプログラムなので、何も考えなくていいし、見た目も派手で楽しい。プレミアムアクトとして登場したテノヒラサイズのコントも、ブラックタイツの歌と踊りも含めて一気に見せる3時間だ。
それに対して、Aプロは少し苦しい。前半のニュートラルとバグダッドカフェの短編はこの企画になじまない。彼らの、このとても静かな作品は、じっくり見せる場でなくては機能しない。この前半部分に置かれた2作品は、全体の中からきちんと隔離して観客に集中して見てもらうような配慮が必要だ。2本ともチャーミングな作品で、大沢さんも泉さんもリンクス参戦を前提にして作られたものだということは、重々わかるのだが、それでもこの空間の気分にはなじまない。こういう繊細な作品を挟み込むためには、見せる場の空気も考えての演出が必要だ。
後半登場する梅棒のパフォーマンス見るためにやってきた観客にとっては、あの1時間はしんどかったのではないか。最後のバンタムクラスステージの作品も、ムードで引っ張っていくものだから、じっくりとこの世界にはまり込めなくては見ていられない。しかし、梅棒の直後では、気分の切り替えが難しい。要するにそれくらいに梅棒のインパクトが大きいという話なのだ。彼らは舞台を縦横に使い、圧倒的な迫力でノンストップのダンスパフォーマンスを見せきる。単純な筋立てのスポ根もので、定番を踏まえるストーリーラインが心地よい。この日のアラカルトアクトはアドシバだけだったが、この軽さは、このプログラムにとってちょうどよかったのではないか。
全体のバランスをきちんととることはとても難しい作業だと思うが、そのへんも含めて、石田さんにはちゃんとプロデュースしてもらいたい。ストーリーで見せるものをどう扱うかが、今回だけでなく、これからのLINX'S の最優先課題だろう。せっかく集めてきた魅力ある8集団である。これを生かすも殺すも全体の構成しだいなのだ。