平日の夜の回の上映だったのだが、なんと満席状態で驚く。それだけ期待されているという事か。『呪怨』の清水崇監督が久々に放つホラー映画。ダムの底に沈んだ村に繋がるトンネル。その先には呪われた村の記憶が今も残る。村人の生き残りには、そこで死んだ人々の姿が見える。呪われた子孫たちがたどることとなる記憶の底の村への旅。そこへと引き寄せられていく子どもたちによみがえる失われた記憶。あの村では何があったのか。なぜ皆殺しにあったのか。
設定としては悪くはない。だけど、なんだか理屈が通らないことばかりで、ミステリとしてはこれでは納得がいかないし、もどかしい。理解不可能な行動が描かれるわけでもなく、一応ロジックは組み立てられてある。しかしそこには驚きも納得のいく理屈もないから、つまらないのだ。せめてわけのわからない恐怖にでも貫かれていたのならいいのだけれど、どうしてこんなにも中途半端な映画を作ったのか。よくわからない。ただの怖がらせでもいい。ちゃんと怖がらせてくれたのなら。でも、怖くもないし、お話にも乗れないのでは意味がない、
『リング』から『呪怨』へと一世を風靡したJホラーも今では見る影もないということか。清水監督ならきっとこの素材を使い、あっと驚く新しい「何か」を見せてくれるものと期待して劇場に来たのに、がっかりだった。