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映画・演劇のレビュー

あみゅーず・とらいあんぐる『真夜中のレストラン』

2008-05-25 19:34:24 | 演劇
 青い鳥の『ポロロッカ』を原作にして再構成したあみゅーずの新作は、いつも通り、見ている人をほんの少しいい気分にさせてくれる、そんなお芝居だ。

 青い鳥の芝居のように突き詰めていくことなく、ほんわかとした心地よさを、さらりと見せていくところにあみゅーずのよさがある。彼女たちの軽やかなフットワークとアットホームなスタッフワークで、こんなにも暖かな気分で舞台を見つめられる。そんな芝居ってなかなかないと思うのだ。スタッフも観客も、みんなが条さんたちを優しい気持ちで見守っていられる。そんな中で、彼女たちがしっかりと生き生きした芝居を見せる。だからみんな満足感を抱くことが出来る。こういう関係性を常に築き上げてここまでやってきた。年に1度のあみゅーずのステージを楽しみにしている人たちがたくさんいる。彼女たちを楽しんでいる。それって、すてきなことだと思う。

 芝居を通して自らの野心を実現させようなんて気はさらさらない。かといって自己満足だけのお遊びではない。彼女たちが作る小さな幸せに胸を躍らせる。ほっこりした気分になる。それだけだ。そんなささやかさが身上である。

 今回はレストランを舞台にして、そこで働く女たちの姿を見せる。全くお客さんがこなくって、毎日、店はとても暇。退屈している。味も悪くないはずなのになぜだろう?と思っている。でも、彼女たちはなんだか別に焦っているわけでもない。
それってなんだか、すごい。そんなことではお店は潰れてしまいます。なのに、彼女たちはやっぱりのんびりしている。どうしたら、いいか、なんてことよりなんだか世間話のようなことをしゃべっている。

 こういうスタンスってすごいなぁ、と思う。なるようになるや、と思っているのやら。でも、ラストではほんとうになるようになってしまう。突然舞い込んできた結婚パーティーの依頼。今日の明日で大わらわ。今夜は夜を徹して準備に追われている。途中に挟まれるサラリーマン2人のやりとり、2人の女子高生たちの会話、そして主婦2人組の無駄話。そんなどうでもいいようなおしゃべりも楽しい。

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