ノルウェーの小さな港町。寡黙な少女(大人だけど)のような女性が主人公。静かな映画は好きだし、人がほとんどいない風景もいい。フィックスでいつまでも変化のない風景を見せてくれるのも嫌いじゃない。だけど、それだけでは退屈。78分と短い映画だが、まるで話らしい話はないからこれでも長いくらい。何もない風景を撮るシーンを短くすると60分くらいになるのではないか。ムダとは思わないけど、なくてもいい。これが長編2作目となるらしいアンダース・エンブレム監督作品。自身の故郷であるノルウェーのオーレスンを舞台にした。
主人公は病気で仕事を休んでいたみたいだが、なんとか復帰する。職場に戻って、のんびり仕事をする。地方新聞の記者でさまざまな場所に取材で出向く。特ダネを狙うのではなく、地道に環境問題やら社会問題に取り組む。カメラマンとふたりで取材する。話を聞き、メモを取る。録音機は使わない。難民強制送還の取材にこだわるが、そこからドラマチックな展開があるわけではない。タイトルの『ヒューマン・ポジション』って「人としての立ち位置」とでもいうことだろうか。あまりに大きく曖昧すぎてわからない。
彼女は仕事から帰ると同性の恋人と猫がいる家でのんびりする。ふたりでまったり過ごす時間が丁寧に描かれる。仕事と自宅の描写だけでほぼ全部。事件もなく、終わる。悪くはないと思うけど、なんだかなぁと思う。