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映画・演劇のレビュー

『ジュノ』

2008-05-30 22:25:38 | 映画
 別にどうってことない映画だが、見終えた後ほんの少しいい気分にさせられる。ジュノがたった1度のセックスで妊娠してしまい、戸惑いながらも、出産していくまでが描かれる青春映画だ。彼女はこの10ヶ月を通して、ほんの少し成長していく。妊娠、出産という人生の大事件を16歳の少女が成し遂げていく。

 もちろん周囲の人たちのびっくりするくらいの愛情と協力があるからだ。それだから彼女は乗り越えていける。この映画で描かれていく事実を興味本位で取り上げるわけでもなく、かといって軽薄に描いたりするわけでもない。等身大のこととして、見せる。

 最後は出産後、平和な日常に戻ったジュナが大好きだった男の子に告白して、2人で過ごす時間を見せる。彼に告白し、成長するという当たり前の青春が出産を通して描かれていくところがこの映画のミソだ。しかも、告白する彼は生まれてきた子どもの父親だったり、する。好きともいえないまま先にセックスをしてしまい、妊娠というその事実を受け入れたまま10ヶ月を過ごす。大事件と小事件そのミスマッチがおもしろい。彼女の赤ちゃんをもらって育てようとするセレブな若夫婦が、この出産劇を通してジュノ以上に揺れていくのもおかしい。いったいどちらが大人なんだい、と思わせるところがこの映画の魅力であり、隠し味だとも言えよう。

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