ここには書いてない10本の映画 2
実はTOHOシネマズが1ヶ月フリーパスになったから、大阪周辺でこの1ヶ月間に上映されているすべての映画を見てみよう、という行為に挑戦した。そのおかげで、仕事が忙しくなり、芝居を見る時間も少なくなり、わかっていたことだけど、思った以上に大変だった。しんどすぎて、楽しめないし。
仕事帰り、毎日のようにレイトを見たから睡眠時間もかなり減る。仕事はいつも通りにあるから朝は5時半には起きなくてはならないし、帰りは少し早く(週に1度は定時に)出る日も作ったけど、この時期は忙しく、なかなか7時までに出られない。しかも、土日はクラブがあるから、忙しい。その合間を縫っての映画三昧。さすがにハードだった。
で、なんと1ヶ月で40本見た。でも、その40本よりも、先日、仕事帰りに見た2本の映画の方がよかった。そんなものなのだ。わかっていたことだけど。見るのは、自分が見たい映画だけでいい。でも、こんな機会でしか、こんな無謀なことは出来ないのだから、これはこれで意味がある。(かも)いい経験になった。
以下は、前回と同じで、普通なら見ない映画ばかり。
『名探偵コナン から紅の恋歌』
昨年同様「渋い映画」の路線を走る新作。今回は競技かるたを題材にした。でも、派手な爆破やら、アクションは満載。史上最高の大ヒットを記録したようだ。それほど面白いとは思えないけど、ファンにはこれで十分満足がいくのだろう。見ているぶんには楽しめる。
『パトリオット・デイ』
ピーター・バーグはこういうドキュメンタリータッチの映画が大好き。ノンフィクションが大好き。犯人逮捕までの100時間をリアルに追う。確かに面白いけど、それに感動的だけど、なんだか、物足りない。
『昼顔』
もちろんTVは見ていない。でも、これはないわぁ、と思う。ブニュエルの名作とは別物とはわかっていても、敢えてこのタイトルをつけた以上、それなりの覚悟はあったはず。3年の歳月を経て再び出会うふたりがまた、同じような過ちを繰り返す。バカじゃないか、としか、思えない。メロドラマだからこれでいいのかもしれないけど、まるで感情移入できない。昔の大映TVなのだ、と理解して笑いながら見たらいいのかもしれないけど、僕にはしんどい。ラストには唖然。それでいいんか、と憤慨。
『22年目の告白 私が殺人犯です』
オリジナルの韓国映画を見たときにはそのストーリー展開の奇抜さに驚いたが、この日本版は見事にそこを踏襲しながら、それだけではなく、日本という国の抱える問題に迫るオリジナルな視点も確保した。阪神淡路大震災の年に東京で起きた連続殺人という設定が全編に効いている。終盤真犯人が登場してからの展開がつまらないから、大事なところで失速するけど、そこまでの緊張感はなかなかのものだ。入江悠監督はこういう作品を撮らせても上手い。
『花戦さ』
篠原哲雄監督作品なので、これは見るつもり、だったけど、期待した以上に地味な映画で、よかった。池坊専好と秀吉の対決という題材もいい。従来の利休と秀吉という図式を踏襲しているのだけど、軽やか。利休(なんと、佐藤浩市)もちゃんと重要な役回りで登場するけど、彼の立ち位置も微妙でいい。主人公を演じた野村萬斎がいつものように飄々としているのだが、それが鼻につかない。とても自然体で、こんな「けったいな男」がいたのか、と笑える。それくらいの軽さ。これだけのお金がかかる映画なのに、大作時代劇というスタンスはとらないのがいい。
『映画 山田孝之 3D』
バカ。その一語で済む。TVの『山田孝之のカンヌ映画祭』は最初の方は面白かったけど、だんだん付き合いきれなくなり、不快感ばかりが残ったけど、(最後は見てないから、断言はできないけど)これはもうバカ。こんなものを映画だと呼び、劇場に掛けるって凄いと言えば凄いけど、3Dめがねを掛けて追加料金も払って、これを見ながら、ないわぁ、とずっとため息をつく77分。
『バウンティハンターズ』
昨年中国で大ヒットしたこの超大作が、なぜか、シネマートではなく、TOHOシネマズで1週間だけ緊急公開された。派手な娯楽活劇で『ルパン3世』を見るノリで楽しめたらいい。5人組が連続ホテル爆破犯を追う。本国で受け入れられても、これでは日本での興業は難しいだろう。ノーテンキな映画で、ポップコーン片手に友だちと楽しもう。
『こどもつかい』
清水崇の新境地、のはず、だったのに、しかも、滝沢秀明初主演映画なのに。このていたらく。まるで怖くないのは、どうよ、と思う。発想は面白いから、アトム・エゴヤンの映画みたいに作れたらいいのだが、中途半端。親による児童虐待を扱う。でも、映画自体は子供が親を殺すのだ。その反転したお話をもっと深いところで描けたならよかったのだが、ダメ。
『キングアーサー』
なんだ、このド派手な映画は! すごい迫力でぐいぐい押してくる。3D、MX4Dで見せたいという気持ちはよくわかる。でも、まるで人が入ってないから、残念。映画はアクションシーンの連続で、凄いけど、だんだん飽きてくる。アトラクション映画にしては長い。(2時間6分)ガイ・リッチーはもともとあまり中身がなかったけど、こういうふうに進化したのか、とため息。悪い映画ではない。
『レイルロード・タイガー』
さすがジャッキー・チェン。こういうオーソドックスな列車を使うアクションも見事にエンタメとして、成立させる。もうアクションはやらないよ、と一時は引退宣言まで出していたのに、今は、もうやれるところまでやりきる覚悟。でも、それは悲壮ではなく、実に楽しそう。別にアクションを封印する必要は無いのだ。彼ならどこまでもやれる。しかも、こんなにも楽しそうに。それだけで、見てよかった、と思える快作。
ということで、10本。でも、まだこれ以外にも、『魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』と、『TAP』も見ている。前者は、僕には何が何だか。後者は、水谷豊監督、主演の気合いの入った映画だけど、空回り。