とても真面目な芝居である。沖縄の現実がしっかりわかりやすく描かれている。海上基地建設抗議活動の座り込み集会を通して様々な問題が浮き彫りされてくる。
老人たちが先頭を切って反対運動をしていること。戦中、戦後、返還。節目節目はあるが、常に虐げられて犠牲になってきた歴史を生き抜いてきた老人たち。彼らの思いを核にして、芝居は綴られていく。中心になるのは沖縄辺野古の宮城家と大阪の中根家。ふたつの家族を通してこの物語は展開していく。大阪の場面はあまり描かれないが作者は一面的な描写に陥らないように複数の視点を確保したのだろう。大阪在住の写真家であり主婦でもある中根里子(井上清美)の視点から基地反対闘争が見つめられていく。狂言廻しであるだけではなく、彼女の抱える現実と沖縄の現実が重なっていくことを通してここで描かれる問題は沖縄だけのものではないという当たり前の事実が見えてくるように作られてある。
部外者が現場に向かい、そこで見た現実を通して、自分たちの現実とも向き合うことになる。それはボランティアでここにやって来た青年や、ひきこもりの里子の娘を通しても描かれることになる。声高に自分たちの言いたい事を語るだけではない。もちろん言うべき事は山のようにある。だが、観客が、静かにひとつひとつしっかり自分の問題として受け止めてくれるように、慎重な作り方をしているのがいい。
2部構成2時間30分の大作だが、テンポよく見せてくれるので、長さを感じさせない。真摯なメッセージが確かに伝わってくる。老人たちをほんとうの老人が演じているのも、こういうベテラン劇団ならではのことで、そういうことは、とても若い集団では不可能なことである。特に本編の実質的な主人公、ひめゆり学徒生き残りでもある老婆を演じる和田雅子さんが素晴らしい。全てを静かに受け止め、でも強い意志を持ち信念のもと生きている、そんな姿が目に焼きつく。
自分たちにしかできないアプローチで、描くべきものを明確なテーマのもと、1本の芝居として作り上げていこうとする熱意がしっかり伝わってくる。
老人たちが先頭を切って反対運動をしていること。戦中、戦後、返還。節目節目はあるが、常に虐げられて犠牲になってきた歴史を生き抜いてきた老人たち。彼らの思いを核にして、芝居は綴られていく。中心になるのは沖縄辺野古の宮城家と大阪の中根家。ふたつの家族を通してこの物語は展開していく。大阪の場面はあまり描かれないが作者は一面的な描写に陥らないように複数の視点を確保したのだろう。大阪在住の写真家であり主婦でもある中根里子(井上清美)の視点から基地反対闘争が見つめられていく。狂言廻しであるだけではなく、彼女の抱える現実と沖縄の現実が重なっていくことを通してここで描かれる問題は沖縄だけのものではないという当たり前の事実が見えてくるように作られてある。
部外者が現場に向かい、そこで見た現実を通して、自分たちの現実とも向き合うことになる。それはボランティアでここにやって来た青年や、ひきこもりの里子の娘を通しても描かれることになる。声高に自分たちの言いたい事を語るだけではない。もちろん言うべき事は山のようにある。だが、観客が、静かにひとつひとつしっかり自分の問題として受け止めてくれるように、慎重な作り方をしているのがいい。
2部構成2時間30分の大作だが、テンポよく見せてくれるので、長さを感じさせない。真摯なメッセージが確かに伝わってくる。老人たちをほんとうの老人が演じているのも、こういうベテラン劇団ならではのことで、そういうことは、とても若い集団では不可能なことである。特に本編の実質的な主人公、ひめゆり学徒生き残りでもある老婆を演じる和田雅子さんが素晴らしい。全てを静かに受け止め、でも強い意志を持ち信念のもと生きている、そんな姿が目に焼きつく。
自分たちにしかできないアプローチで、描くべきものを明確なテーマのもと、1本の芝居として作り上げていこうとする熱意がしっかり伝わってくる。