5つのお話。5人のさきちゃん(実質は6人。最後のタイトルになっている作品はタイトル通り2人のさきちゃんが登場する)を主人公にした短編連作。相変わらずよしもとばななは小学5年レベルの語彙ですばらしい小説を書く。
いつものように切ない話だった。(「切ない」もばななさんが大好きな言葉。小説の中で主人公たちは何度となく切なくなる)死によって損なわれた関係性をなんとかして修復しようとする人たちのその後の時間が描かれる。もちろん死んでいない人もいるから、5つをそういうくくりで説明するのはよくない。でも、死んでいなくてもいなくなった人は死んでしまったのと同じ場合もある。喪失、という言葉で言い換えてもいい。
年寄りは先に死ぬ。でも、若くして亡くなる場合もある。そんなあたりまえのこと、書くな、と言われそうだが、そんな当たり前と向き合う小説なのだ。そのひとつひとつの夜が(5つの小説はそれぞれ別の5つの夜をベースにしている)生きる力につながる。特別なことはどこにもない。だが、それを特別に変える力が人にはある、ということだ。
いずれも心温まる作品だったが僕は『癒しの豆スープ』が一番好き。祖父母の豆スープをもう一度よみがえらせることで、損なわれていた関係が新しい形で帰ってくる予感。「帰ってくる」ではない。そんな「予感」というところで止めてしまうところがいい。未来はまだその先にあるから、わからない。だから、おもしろいと思えるくらいに、彼らは回復する。誰かのために、ではなく、自分たちのためにする行為。それが誰もを幸福にする。そんなことを信じたくなる。これはそんな小説なのだ。甘いけど、それがどうした!
いつものように切ない話だった。(「切ない」もばななさんが大好きな言葉。小説の中で主人公たちは何度となく切なくなる)死によって損なわれた関係性をなんとかして修復しようとする人たちのその後の時間が描かれる。もちろん死んでいない人もいるから、5つをそういうくくりで説明するのはよくない。でも、死んでいなくてもいなくなった人は死んでしまったのと同じ場合もある。喪失、という言葉で言い換えてもいい。
年寄りは先に死ぬ。でも、若くして亡くなる場合もある。そんなあたりまえのこと、書くな、と言われそうだが、そんな当たり前と向き合う小説なのだ。そのひとつひとつの夜が(5つの小説はそれぞれ別の5つの夜をベースにしている)生きる力につながる。特別なことはどこにもない。だが、それを特別に変える力が人にはある、ということだ。
いずれも心温まる作品だったが僕は『癒しの豆スープ』が一番好き。祖父母の豆スープをもう一度よみがえらせることで、損なわれていた関係が新しい形で帰ってくる予感。「帰ってくる」ではない。そんな「予感」というところで止めてしまうところがいい。未来はまだその先にあるから、わからない。だから、おもしろいと思えるくらいに、彼らは回復する。誰かのために、ではなく、自分たちのためにする行為。それが誰もを幸福にする。そんなことを信じたくなる。これはそんな小説なのだ。甘いけど、それがどうした!