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映画・演劇のレビュー

『ストロボ・エッジ』

2015-03-04 22:31:43 | 映画
週末の2日間で、3本の映画を見た。(実際は4本なのだが『アメリカン・スナイパー』はここでは数に入れない)最初の映画は高校1年生が主人公。(『でーれーガールズ』) 最後の映画は高校3年生が主人公。(『幕が上がる』)では、真ん中は? 

当然、高校2年生が主人公でしょ。ということで、『ストロボ・エッジ』なのだ。高1、高2、高3の三つの時間を映画で体験する。たまたま、だが、なかなか出来ることではない。しかも、3本とも極上の傑作なのだ。しかもこんなにも傾向の違う(でも、3本ともとても素直な青春映画だが)映画なのに、である。なんか、やばい。


さて、これは廣木隆一監督の最新作だ。それにしても、廣木監督。これもたまたま、だろうが、3カ月連続3本の映画を公開するなんて前代未聞の快挙ではないか。しかも、3本ともまるでタイプの違う作品だ。1月の『さよなら歌舞伎町』、2月の『娚の一生』に続いてこの3月公開される本作。僕はその3本を、たまたまちょうど1カ月の間に見ていることになる。ほぼ毎週廣木映画である。彼の3本も傑作ばかりで、やばすぎる。

と、ここまで前置きです。いや、前置きついでにもう少し。今からほんの少し前(12月公開だからまだ3カ月だ)同じ原作者のマンガが映画化されている。『アオハライド』だ。こちらは三木孝浩監督作品である。しかも、あれもまたよく出来た作品だった。こんなにも短いスパンで同じ作者のマンガが連続で公開されるなんて、異例ではないか。

廣木監督の凄いところは、こういう少女マンガであろうとも、まるで手を抜かない。というか、先の2本と同じように、丁寧に作る。映画としてのリアリティは、それが現実に起こりうるか否かではない。その作品の描こうとする世界観を忠実に提示することにある。だから、そこは夢のような世界でいい。でも、そこの住人である彼らは彼らの誠実な世界を体現する。その結果、その映画はリアルなものになる。だから、彼らが「恋愛」しか考えてなくてもバカバカしいとは思わない。

好きです、と告白する場面から始まる。いきなりクライマックスだ。だが、彼女はあっさり振られてしまう。でも、彼女の「好き」は、そこで終わらない。それどころか、「好き」は加速する。そんな一途な想いの先にあるものを掬い取ろうとする。

これもまた、ストーリーではない。『娚の一生』と同じだ。主人公のふたりを見つめるだけの映画だ。片想いの連鎖を描くのだが、(相手に届かない)問題は届けたいということではない。自分の想いにどれだけ忠実になれるか、である。正直な気持ちを大切にする。自分の問題として受け取る。相手とではなく、相手を通して自分と向き合うのだ。そこにブレがないから、この映画は信用できる。

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