カンボジア系フランス人監督であるダビ・シュー作品。韓国映画ではなくフランス映画。なのにカンボジア代表として、アカデミー賞にも出品された。(カンボジアも製作に入っているけど)
ヒロインを演じたパク・ジミンも韓国人ではない。韓国系フランス人。映画は感情的になることなく客観的な視点を確保して見せてくれるのがいい。
映画は前半部分が面白い。養子縁組で赤ちゃんの時にフランス人夫婦に貰われてフランスで育った韓国人の女の子が、大人になってたまたま韓国に行く。東京に行くつもりだったが、天候不順で予定を変更したソウルでの2週間が描かれる。結果的に自分のアイデンティティを探る旅になる。最初は自分探しではなかったけど、気がつくとそうなっている。
たまたま産みの両親を探し会うことになる。両親は離婚していて、父親の新しい家族と会う。いきなり腹違いの妹がふたり出来たら驚くしかないだろう。産みの父は赤ちゃんの彼女を捨てたくせに、再会後、いろいろと関わってくる。そんな父が鬱陶しい。母親からは会うことを拒否された。
初めての韓国の日々。外見はコリアンなのに全く韓国語は話せない。仕方なかったのかもしれないが自分を捨てた父を受け入れられない。いろんな人と出会う。そんな彼女の2週間。
後半はその後が描かれる。エピローグではなく、まだまだ話は続く。まず2年後、さらにはその5年後、コロナ禍の年。そしてさらに翌年、と3つの時間のエピソードが続く。初めてのソウルから後、言葉も話せるようになり、慣れてくる。父とも和解し、母とも会えた。
フランス人だけど、ルーツは韓国人である。25歳で生まれた国に出会い、少しずつ関係を深めるそんな過程が丁寧に描かれる。とてもいい映画だった。こんな映画が大阪ではミニシアターで一日1回しか上映されてないし、たぶん2週間くらいで上映は終わる。