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映画・演劇のレビュー

『幸せの始まりは』

2012-02-27 20:55:14 | 映画
 こういうよくあるアメリカ映画を久しぶりに見た。お決まりのストーリーラインに則ったシチュエーションコメディーでありラブストーリーだ。これはこれでラブコメの王道を行く作品なのかもしれないが、あまりに安直過ぎて乗れない。「『恋愛小説家』のジェームズ・L・ブルックス監督と人気女優リース・ウィザースプーンがタッグを組んだ本作は、人生の応援歌のような作品だ。」とgooには書いてあったが、なんだかそんな歯の浮くような宣伝文句を書かされるようなお寒い映画である。

 なぜジェームズ・L・ブルックスはこんな作品を作ったのだろうか。別に悪い映画だ、と批判したいわけではない。この程度のアベレージ映画が世の中にあってもいい。だが、アカデミー賞監督でもある彼がそれを作らなくてもいいのではないか。しかも、ジャック・ニコルソンまで担ぎ出して。

 匙加減ひとつで、いい映画にも、つまらない映画にもなる、ということなのだろう。だから、こういう映画は難しい、という話なのだ。最悪なことばかりの2人の男と女が、出会い、恋に落ちる。2人なら上手くいく、そんなことが描かれる、はずはない。そんな簡単な話なら、世の中みんな恋をすれば万事解決である。

 不条理はどこにでも転がっている。でも、自分の身に降りかからなければみんな気にもしないで生きているのだろう。他人のことなんかに関わっていられる程暇じゃない。だが、映画を見ているときくらいは気持ちよく嘘に酔わせて欲しい、というのも本音だろう。そんなこと思うくらいにこの世の中殺伐としているということでもある。

 そこで、このノーテンキな映画である。この映画の見所は2人のキャラクター設定だ。結構繊細な女と、なんだかぼんやりな男。最悪の出会った2人はすれ違うばかりで、なかなか恋には落ちない。だって女には同じようにスポーツで生計を立てている恋人がいるからだ。オーウェン・ウィルソン演じるプロ野球の花形選手のバカ加減が素晴らしい。彼を主人公にした方が面白かったのではないか。プロソフトボール(アメリカにはそんなのがあるんだぁ)で活躍していた主人公は更改の時チームから首にさせられる。でも、彼は彼女を幸せにはしてくれない。というか、専業主婦なんかにはなりたくないし。そんなこんながそこから始まる。

 結局、ラストで彼女が選ぶ男が、そのぼんやり男で、それってオーウェンと同じではないか? なんかこれってバカな女は学習しない、って話なのか? でも、きっと違うと思うのだが。

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