『ノベンバー』のライナル・サイネット監督最新作ということで見ることにした。予告編を見た時は「なんなんだこれは、」と唖然としたけど、本編も予想以上に無茶苦茶な映画だった。そう言えば『ノベンバー』もヘンテコな映画だったけど、あれはなんとかアート映画だったからまだ騙されていた。だけど今回はおバカな青春映画で、カンフーアクションである。エンタメのはず。なのに、これって何? 訳がわからん娯楽映画である。たぶん。
これは面白いのか、つまらないのか、そんなこともわからない、という謎の映画なのである。見ていて頭が痛い。冒頭の3人のカンフーマスターたちが降臨するシーンから呆れ返る。いきなりの乱闘騒ぎ。なのになんだかのんびりしている。そんな3人を見て主人公は目覚める。自分も強くなる!
何故か修道院に入って修行するけど、それは教えに目覚めたからではなく、カンフーを極めるためだ。ここの人たちがカンフーマスターで彼らからカンフーを学びたいという邪念というか、素直な感慨というか。
お話がめちゃくちゃで、しかもなんかよくわからない紆余曲折を経て、ここ(修道院ね)を出て行き、大好きな女のところに戻ってめでたしめでたし、って何? ラストの満面の笑みもわけがわからん。さらには「おしまい」という黄色い文字がスクリーン全面を覆う。
あれで終わりとか、確かにハッピーエンドだけどとか、あまりに安直で強引な幕引きである。このチープでアナログな極彩色のドラッグでへろへろになったような映画を見て手を叩くことができる人は幸せ者だ。僕は呆然唖然でなかなか立ち上がれなかった。