このバカバカしいお話を、中途半端にふざけることなく、ちゃんと作っていて、40分というコンパクトな長さにまとめる。なんとも気持ちのいい作品だった。
役者たちがみんな適材適所で頑張っているのもいい。特に主人公である便器(失礼、洋式トイレくん)を演じた趙美恵さんがいい。彼女のさりげない爽やかさ。コミカルな芝居を無理してすることなく自然体で演じるのびやかさ。それは他のキャストにも言える。
押しつけがましさがないのだ。たわいないお話を、ムリなくさらりと見せる。これって、簡単そうに見えて、実は難しい。衣装(洋式トイレの、当然、白を基調にした、そのおしゃれさ、それがなんだか笑えるのだ)や舞台美術もいい。まぁ、セットは便器だけなのだが、その配置がいい。冒頭で、個室にもうひとりの主人公である少女がちゃんと収まる。便器の背景となる壁が(便器と彼女とをきちんと収めるのだ)効果的。そこから空間が広がるという設定でお話がスタートする。大したことではないのだけど、そういう細かいところは大事なのだ。
トイレットペーパーを演じた2人の1年生も初々しい。ちゃんと下手な演技で堂々としているのがすばらしい。ムリしないというのはそういうことなのだ。それが、好ましい方向に芝居を導く。たわいもないお話を、でも、こんなふうにきちんと見せられた時、なんだかとても、充実した気分にさせられる。