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映画・演劇のレビュー

太宰治 他『文豪死す』②

2024-07-05 03:28:00 | その他

太宰治の『グッドバイ』は初めて読んだかもしれない。こんな呆れた小説を最後にして人生にグッドバイするなんて太宰もなかなかふざけた男だ。しかも未完って。いいかげんにしなさいって感じ。これを成島出が数年前に映画化している。もちろんコメディにしてある。怪力女は小池栄子だ。太宰は(田島だけど)大泉洋。いかにもなキャスティングであまり感心しない映画だった。あの『人間失格』の後にこれかぁ、と思う。

 
梶井基次郎の『のんきな患者』も、たいがいな小説。遺作なのにさらりとして楽しい。中島敦の力作『李陵』はこれが遺作ではなく、ここから彼のキャリアがスタートするはずだった傑作。
 
夢野久作『女坑主』はこれもまず読んでいて楽しい。昔夢中になって『ドグラマグラ』を読んでいたことを思い出す。そしてラストは泉鏡花である。『縷紅新草』も初めて読む。いや、大学時代読んだかもしれないが、忘れてしまっていた。これはこれでわからないではないが、今読むのは少ししんどい。墓参りの話で、幽霊も出てきて鏡花らしいけど、あまり好きではない。あんなに夢中になって読んでいた鏡花なのだが。
 
これは6人の近代文学史の偉人たちの最期の作品を続けて読むことができる貴重は本であり、彼らの作品への導入書にもなっている。なかなか楽しい読書体験だった。

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