1900年上海。日本人街にあるキャバレー「ラ・ルージュ」を舞台にして、ここで生きる男女の物語が描かれる。店にやってくる馴染みの常連たちと、海千山千の女たち。夜の上海、日本人租界。華やかなネオンの先で、繰り広げられる狂騒。真紅組らしい大作だ。
歌やダンスを交えた豪華できらびやかな大作だ。そして、このお芝居は、見てる分には全然悪くはない。だが、お話としてはちょっと単調で、見ていてだんだん退屈する。変化がなさすぎるのだ。エピソードが平坦過ぎて、代わり映えしないメンバーによるドラマはわざと狙った効果なのかもしれないが、それで退屈させては駄目だ。なにもない日常のように、ここでの夜の狂宴は描かれても、それがやがてくる「何か」への不安や期待を内に秘めているべきだ。変わらない毎日の中で何かがどこかで動いている。その予感が芝居を動かしていかなくてはならない。表層的な狂乱が、過去でもなく、未来でもない「今」だけを見つめるしかないこの魔都上海の現実で、時代の渦に巻き込まれいつどこで何が起きるかわからない不安を確かに描く必要がある。それは弛緩したドラマではないはずなのだ。自由劇場の『上海バンスキング』との比較はしない。アプローチが違う。これは台本を担当した阿部さんらしい仕掛けが施された小品である。だが、その仕掛けと芝居の構造が上手く連鎖しない。
最初から狙っていたはずのラストのどんでん返し(これがこの芝居の仕掛けだ)は唐突でかなり驚くが、事前の前振りがないから、ちょっとあんまりな印象になる。すべてが、甘粕を満州に送り込むための茶番だったなんて言われても、えっ、って感じだ。もう少しなんとかして欲しい。それって衝撃ではなく、なんだか騙された感じで、あまり後味はよくない。
きちんとショーアップがなされた諏訪誠さんの演出はいつもながら見事だし、2部構成にした意図は十分理解できるのだが、その反面、芝居全体のバランスが悪く、間延びしてしまったのは残念でならない。
歌やダンスを交えた豪華できらびやかな大作だ。そして、このお芝居は、見てる分には全然悪くはない。だが、お話としてはちょっと単調で、見ていてだんだん退屈する。変化がなさすぎるのだ。エピソードが平坦過ぎて、代わり映えしないメンバーによるドラマはわざと狙った効果なのかもしれないが、それで退屈させては駄目だ。なにもない日常のように、ここでの夜の狂宴は描かれても、それがやがてくる「何か」への不安や期待を内に秘めているべきだ。変わらない毎日の中で何かがどこかで動いている。その予感が芝居を動かしていかなくてはならない。表層的な狂乱が、過去でもなく、未来でもない「今」だけを見つめるしかないこの魔都上海の現実で、時代の渦に巻き込まれいつどこで何が起きるかわからない不安を確かに描く必要がある。それは弛緩したドラマではないはずなのだ。自由劇場の『上海バンスキング』との比較はしない。アプローチが違う。これは台本を担当した阿部さんらしい仕掛けが施された小品である。だが、その仕掛けと芝居の構造が上手く連鎖しない。
最初から狙っていたはずのラストのどんでん返し(これがこの芝居の仕掛けだ)は唐突でかなり驚くが、事前の前振りがないから、ちょっとあんまりな印象になる。すべてが、甘粕を満州に送り込むための茶番だったなんて言われても、えっ、って感じだ。もう少しなんとかして欲しい。それって衝撃ではなく、なんだか騙された感じで、あまり後味はよくない。
きちんとショーアップがなされた諏訪誠さんの演出はいつもながら見事だし、2部構成にした意図は十分理解できるのだが、その反面、芝居全体のバランスが悪く、間延びしてしまったのは残念でならない。