トッド・ヘインズの新作はボブ・ディランの生涯を描く2時間16分に及ぶ大作だ。なんと6人の役者たちがボブ・ディランの様々な側面を見せる。ケイト・ブランシェットからリチャード・ギアまで、男だけでなく女も含み、しかも黒人の少年も混じっているのだ。大胆というか、いいかげんと言うか。いったいこの映画は何なんだ、と思う。
この実験的な手法は確かに面白いが、とてもわかりにくい。ボブ・ディランについて何の興味もない人が見たならただの訳がわからない映画でしかない。ヘインズは確かに親切ではないが、自己の表現には忠実だ。6人の描写をコラージュさせながら、混沌とした彼の脳内宇宙をこの映画で表現して見せようとする。そして、彼が生きた時代を照射する。
2回見たが、正直言って、上手い映画ではない。この見せ方がもどかしい。それぞれの側面が確かに浮き彫りにされてはいる。だが、彼の生き方が伝わりきらない。中途半端なまま終わっていく。6人に分散させた彼のパーソナリティーはそれぞれのエピソードとして伝わってくるのだが、それらがひとつになったものが、伝わりきらないのだ。それがボブ・ディランというひとりの人間として見えてこないことには、この映画は成功とは言えない。
この実験的な手法は確かに面白いが、とてもわかりにくい。ボブ・ディランについて何の興味もない人が見たならただの訳がわからない映画でしかない。ヘインズは確かに親切ではないが、自己の表現には忠実だ。6人の描写をコラージュさせながら、混沌とした彼の脳内宇宙をこの映画で表現して見せようとする。そして、彼が生きた時代を照射する。
2回見たが、正直言って、上手い映画ではない。この見せ方がもどかしい。それぞれの側面が確かに浮き彫りにされてはいる。だが、彼の生き方が伝わりきらない。中途半端なまま終わっていく。6人に分散させた彼のパーソナリティーはそれぞれのエピソードとして伝わってくるのだが、それらがひとつになったものが、伝わりきらないのだ。それがボブ・ディランというひとりの人間として見えてこないことには、この映画は成功とは言えない。