シリーズ第3作みたい。『コハク妖菓子店』、『たそがれ夕便局』に続く作品だけど、短編連作で長篇ではないからこの本から読んでも問題はない。たぶん。
最初の2篇を読んで少しガッカリした。お決まりのパターンに終始してこの調子で6篇はツライなぁと思う。最近見たドラマ(『からかい上手な高木さん』と『僕の妖怪ガールフレンド』)と同じように2話でやめようと思うけど、なんとかもう1篇読むことにした。
メニュー3「世代つなげるナポリタン」。これがなかなかいい。もちろんパターンは引き継いでいるけど、世代間のギャップを上手く取り込み、ある種の答えにつながる。このほんの少しのバリエーションがいい。だから最後まで読んでしまった。
メニュー6は、マスターが猫又になるまでの話。「純喫茶またたび」が出来る(生まれる)まで。死んだ猫がここに来て、猫又として喫茶店を開く。悩みを抱える人たち(人以外も含む)がやって来て、ほんの少しの時間を過ごして自分を取り戻す。猫又マスターに自分のことを話すことで。
こういうハートウォーミングは山盛あるけど、それでもまたどんどん作られるのは需要があるからだ。みんな疲れているからそれを癒して欲しい。懐かしい料理と思い出を通して復活していく。よくあるパターンだけど、悪くはない。ナポリタン以外もクリームソーダ、ホットケーキ、ピザトーストにプリンアラモードと庶民的で懐かしいものばかり。もちろんそこがねらいだからね。