豊麗線がこういう題材をとりあげる。なぜだろうか。とてもシンプルでわかりやすい芝居を高齢者たちが取り上げて、同世代が中心となる観客に届けることで何がしたかったのか。何を見せたかったのか。今目の前にある自分たちが抱える問題を取り上げるのではなく、もっと本質的なものを見つめなおすために、この本来なら子供たちに向けて指し示すべき題材を(もちろん、子供たちがこれを見に来てくれたならそれが一番いいし、初日には中学生の団体が来る予定だったらしい。大雨でキャンセルになったそうだ)年配の人たちに提示する。確かにこの単純なお話を通してもう一度、生命とは何か、ということを考えてみるって大切なことかもしれない。
水上勉が幼い子供たちに向けたメッセージがどこに届くのか。一匹のカエルを通して夢と現実を描く。生命が受け継がれていくこと。ブンナが木の上で見た過酷な現実。この寓話を通して、もう一度自分たちの命とは何なのかを見つめなおそうとする真摯な取り組みに心動かされる。子供ではなく、大人にこそ、伝えたいものがある。彼らはこの物語を懸命に演じる。
演じるということの喜びを伝える。生のメッセージを伝える。そこにはとても美しいものがある。心にしみてくる。1本の芝居を通して見えてくるもの。劇団大阪の技術と姿勢を通して、それを自分たちの集団として受け継ぎ、シニア演劇大学のOB,OGがこうして巣立っていき、その芽が育っていく。そして新しいチャレンジをする。いくつになっても夢見る力は僕たちを勇気付ける。
え