昨年12月に見たばかりの作品である。再演と言うよりも、場所を変えての連続上演という印象だ。4ヵ月半の間隔を経て、再びこの作品と対面することとなった。この作品はしっかりとブラッシュアップされ、よりスマートなものになっていたのはうれしい。取り込んだ写真は前回公演のチラシだが、63回公演が64回になっただけで、デザインもそのまま使われてある。
関芸スタジオからこども文化センターへと会場を移したことで、作品はとても見やすいものとなった。劇場のキャパシティーが大きくなり、作品とマッチしたのだ。もちろん今回の成功は空間だけの問題ではない。前回の反省を生かして細部を詰め、作品自体が整理されたからだろう。結果的に、前作よりもとてもシンプルでコンパクトな作品になった、という印象を抱いたのだが、どうなのだろうか。
君が代起立条例を巡るドラマは、単純化することで、反対により広い意味を持つものとなった。この作品が目指したものは、細部のリアリティーよりもこの状況の中で右往左往する人たちの姿をストレートに見せることだ。カリカチュアされた人物像は、話を突き詰めるのではなく、それぞれが立場が違うだけで同じような人間で、君が代起立条例というバカバカしい事実に翻弄されているだけなのだ、ということを伝える。
ここにいる現場の人間はそれぞれが自分の信条を持ち、あるいは今置かれている立場から、しかたなく、こういう対応を取らざるを得ないだけの被害者だ。悪者はもっと別のところにいる。そこを踏まえたうえで、右往左往する彼らのドタバタ振りを楽しめばいい。
だが、このコメディーが目指すところは、そこではなく、更にその先にある怖さであることは明白だろう。当日配布されたパンフの中で、演出の林田さんが書かれているように、日本がこの先何処に向かうのか、不安ばかりの「にっぽん丸」の航路が気になる。
関芸スタジオからこども文化センターへと会場を移したことで、作品はとても見やすいものとなった。劇場のキャパシティーが大きくなり、作品とマッチしたのだ。もちろん今回の成功は空間だけの問題ではない。前回の反省を生かして細部を詰め、作品自体が整理されたからだろう。結果的に、前作よりもとてもシンプルでコンパクトな作品になった、という印象を抱いたのだが、どうなのだろうか。
君が代起立条例を巡るドラマは、単純化することで、反対により広い意味を持つものとなった。この作品が目指したものは、細部のリアリティーよりもこの状況の中で右往左往する人たちの姿をストレートに見せることだ。カリカチュアされた人物像は、話を突き詰めるのではなく、それぞれが立場が違うだけで同じような人間で、君が代起立条例というバカバカしい事実に翻弄されているだけなのだ、ということを伝える。
ここにいる現場の人間はそれぞれが自分の信条を持ち、あるいは今置かれている立場から、しかたなく、こういう対応を取らざるを得ないだけの被害者だ。悪者はもっと別のところにいる。そこを踏まえたうえで、右往左往する彼らのドタバタ振りを楽しめばいい。
だが、このコメディーが目指すところは、そこではなく、更にその先にある怖さであることは明白だろう。当日配布されたパンフの中で、演出の林田さんが書かれているように、日本がこの先何処に向かうのか、不安ばかりの「にっぽん丸」の航路が気になる。