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映画・演劇のレビュー

『銀色のシーズン』2

2008-02-09 23:52:34 | 映画
 この映画を見た時、あまりのことで、唖然とした。だから、その驚きしか書けなかった。あまりの批評で、自分の書いたものを読みその興奮振りに笑えた。そこで、もう少し蛇足覚悟で書いてみよう。

 この映画を見て唯一「あっ!」と思った瞬間がある。「結局、やりたいことをやっている時間が幸せなんじゃないかな」なんていう場面だ。ワールドカップスキー(そんな感じのネーミングだったよな)に出場して、若い頃から村の期待を一身に背負った城山銀(それにしても凄いアニメ名前だ!)がモーグルの試合中に怪我をしてしまい2年8ヶ月、スキーから離れ、やる気を失くしてしまう。

 ゲレンデの暴れん坊将軍になっても、誰も何も言わない。みんな彼に負い目を感じている。村中が彼を持ち上げていたから、その期待のせいで、彼が潰れてしまったと思っているのだ。

 だが、本当のところは、彼自身の問題でしかない。再び夢を追いかけるだけの勇気がなかったのだ。そんな彼が、恋人の死の痛手から立ち直れないまま、約束の雪山での結婚式場で死のうとする女の子(田中麗奈)と出会い、彼女にスキーを教えることで立ち直っていく。まぁ、そんなお話である。(ちょっと乱暴で簡単すぎるかなぁ)

 遭難した彼女の救出、再びワールドカップに挑戦、という2段構えのクライマックスは、残念ながら全く盛り上がらない。観客の気持ちを分散させたため描くべきものの焦点がぼやけてしまう。ワールドカップとか、そういう凄いことのためでなく、今日1日を楽しむことのほうが大事だと思う。目の前の女の子を元気にしてあげること、それが自分自身の生きる活力へと繋がっていく。

 昔、ゲレンデでスキーを楽しんでいる姿をとても楽しそうに描いた『私をスキーに連れてって』が好きだった。あの映画の前半部分は何度見ても楽しい。今回の映画はあまりにアクロバチックで、みんなに迷惑かけまくりなので、なんだかなぁ、と思わせる映画だが、それでも核心部分は「スキーって楽しい、滑るのって幸せだ」というそんな気分に尽きる。だから、ぼろくそ言いつつもこの映画は嫌いではないのだ。まぁ、安直な映画であることは変わらないが。

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