習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『結婚しようよ』

2008-02-10 00:31:16 | 映画
 佐々部清監督作品なので、見た。なのにこんなにもユルユルの焦点ぼけまくりの映画が出来るなんて思いもしなかった。これなら『サラリーマン専科3』とでもタイトル変更したほうがいいのではないか。「吉田拓郎」であることの意味がここまでない映画になっているなんて、どうしたものだろうか。これを拓郎へのオマージュなんて言わさない。

 70年代のフォーク世代があれから30年経てどうなったのか。あの頃の夢は何だったのか。団塊の世代のほんの少し下の世代を主人公にして彼らが今何を思うのか、が描かれる(はず)。上の世代が権威に対して抵抗を試みたが、自分たちはそれほど熱くなることもできないまま、それでも夢は見ていた。そんな学生時代を経て、社会に出て、夢より家庭を大事にして、4半世紀を経た今、子どもが大人になり、自分たちが結婚した年齢に達していく直前の時間。もう一度自分たちを見つめなおす。

 団塊世代の夫婦(松方弘樹と入江若葉)が第2の人生を幸福そうに過ごしているのを目の前に見ながら、今まで守り続けた家族の団欒が揺らぎはじめた中、揺れる心を描く。主人公は三宅裕司と真野響子のふたり。三宅の父親は子供たちと家族4人で夕飯を食べるのが生きがいだ。何があっても、その習慣だけは守る。それってかなりアナクロでなんだか有り得ない。

 拓郎に象徴させた自分たちの夢って何だったのか。公園で、大学の頃フォークデュオを組んでいた岩城滉一と話す場面はいい。いい年した大人たちが公園の鉄棒で遊ぶ場面だ。そして、もう一度、彼はギターを手にする。ここからどう展開するのか、それがこの映画の成否を決する。気がした。

 だが、それは娘の結婚式の余興でしかない。それって、なんだかなぁ、と思う。もう少しシリアスに50代前半の男女の問題を描くつもりはなかったのだろうか?

 なんだか、安直なプログラム・ピクチャーである。これを今作る意味はまるでない。

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