DVDで10数本の映画を1週間で見た。ちょっとした冒険だ。まぁ、別に見なくてもよかったけど。
見逃していた「そこそこ」の映画を、24時間くらいの時間を使って見た。暇だから、ついつい無謀に挑戦した。何がしたくてそんなことを、とも思う。でも、何もしなかったら死ぬし、ね。それは大げさだけど、まぁ、その週末は時間も十分にあり、セールをしていて準新作も100円でレンタル出来るから、借りてしまっただけ。だいたいこれだけのお金では劇場でなら、映画は1本しか見られない。レンタルは安い。
『青の帰り道』がいちばんよかった。これについては先にも書いている。これは5年間+5年間。10年の物語である。ラストで再び故郷に戻る。ファーストシーンと符合する。高3の春、卒業のとき、このまっすぐの道をみんなで自転車を走らせた。あれから10年が経ち再びここを歩く。あの頃の彼らのような高校生たちとすれ違う。よくあるパターン。でも、10年を2時間に凝縮したドラマを見たから、そんなベタな展開も感動的になる。彼らの苦しみがわかる。18歳から28歳という多感な時期を駆け抜けた。この10年ってなんだったのか、と思う。傷つき、疲れ、仲間のひとりは死ぬ。7人にとって怒濤の時間だった。もちろん、人生はまだまだ続く。何がしたくて、何を求めて生きるのか、まだ、よくはわからないけど。とりあえず、ここまで来た。そんな彼らの想いがしっかりと伝わってくる秀作だ。昨年『新聞記者』で新境地を切り開いた藤井道人監督の自伝的作品。誰もが心当たりのある青春の一時期が普遍性を持ち伝わってきた。
もう一本なら、タイ映画の『バッド・ジーニアス』。荒唐無稽なお話をシリアスなタッチでリアルに描き、ドキドキさせる。ラストはちょっと辛すぎるけど、このタッチならハッピーエンドは難しいのか。痛快なお話にすることもできたけど、そうはしないという選択肢を選んだ。大々的なカンニングという行為リアルに描く映画だ。2人の天才少年少女が主人公で、どちらかというと彼らが巻き込まれて、組織的なカンニングを実行していくことになるのだが、ここには歴然とした貧富の差が根底にある。実は格差社会、それこそがこの映画のテーマなのかもしれない。そして、そんな彼らが断罪される結末はなんだか割り切れない。犯罪者であることは歴然とした事実だけど、なんだかなぁ、と思う。でも、そんな気分にさせられることも含めてこの映画はなかなか手強い。
ここまで書いたところで、知ったのだが、これは実話を題材にしたらしい。それならこの展開は当然だろう。
10数本の内訳は『夜明け』『三人の夫』『さよなら退屈なレオニー』『よこがお』『岬の兄妹』『ポルトの恋人たち』『キラキラ眼鏡』『ディリリとパリの時間旅行』他、というラインナップ。