廣木隆一監督がこんな作品を作るなんて、驚きだ。上質のサスペンス・ミステリーに仕上がっていている。先の読めない展開で、2時間強、最後まで一気に引っ張られていく。思いもしない犯人にもあっと驚く。思い起こせば『デスノート』のふたりである。藤原竜也と松山ケンイチ。あの映画の頃と今とではいろんなことがありすぎてこの二人の競演が『デスノート』以来だったなんて、思いもしなかった。さまざまな作品であまりにいろんな姿を見せ着実にキャリアを積んできた二人だったので、もう『デスノート』なんて記憶のかたすみにもなかった。(金子修介監督ごめんなさい!)
そんなふたりがガチで組んで、生まれたころからの友人を演じる。そこに彼らの弟分として神木隆之介が絡んでくる。小さな島で静かに暮らしていたこの3人が死体をどうするか、そこから始まる。『ノイズ』というタイトルが出るまでに20分くらいあったのではないか。映画はひとりの男(演じる渡辺大知が凄い!もうキレキレだ。ヤバすぎる。)が保護司とともに就職にためこの島にやってきて、殺人を犯すところから始まる。その後、主人公たち3人のこの島での今の暮らしが丁寧に描かれていく。不穏な空気と穏やかな日常の対比。そして、起こる当然の事件。導入部としては申し分がない。
ここからは怒濤の展開になる。自分たちの生活を守るために死体をどうにしかしなくてはならない。だけど、どうしようもない。警察がやってきて事件が大々的になる。やがて、さらなる死者が出る。この島を守るため、なんとかしようとする彼らが袋小路に陥る姿が描かれる。これはエンタメであり娯楽映画である。だけど、それを廣木隆一がやる以上単純な娯楽作品にはならない。絶妙なバランスで、畳みかけるように見せつつ、主人公である3人の想いもちゃんと描かれる良心的な映画になった。傑作ではないけど、安心してラストまで見れる。