これは「カラフルコレクション」と銘打たれた短編集の第1弾。いつものオダさんの作品とはひと味違った仕上がりになっている。とても穏やかで、優しい。もちろん、僕はいつもの重くて暗くて、不条理なオダタクミ作品の方が好きだけど、これはこれで悪くはない。カンパニーのメンバーの原案を元にして集団創作していく、という今回のスタイルもいい。そして役者たちは、この20人ほどで満席になる小さな空間(谷町空庭)で、客席に手の届く舞台で演じる、というプレッシャーをなんだか心地よいものとして受け入れているようでそれもいい。
1本目の『青いミルフィーユ』(原案、宮路一枝)は、結婚を1週間後に控えた女性の憂鬱が描かれる。幸せになれるか、不安な気持ち。マリッジブルーでしかないのだが、本人にはそれがキツい。なのに、彼は構ってくれない。しかも、職場でも嫌なことばかり。死にたい、とまで思い詰める。そこに死んだ姉がやってきて、幸せに向けて背中を押してくれる、というハートウォーミング。
2本目の『灰色の季節』(原案、三品佳代)は、アラサーの独身女性が主人公。恋人無し。両親が結婚を期待している、という状況で、レンタル彼氏を呼んできて、両親に紹介するのだが、彼がゾンビに咬まれて変態しつつある、なんていうとんでもない展開。ホラー・ホームドラマなんていうのを、さらりと見せる。
小さなスペースで.(少し変な)小さなお話を、(なんとか)ムリなく見せる。実験公演だからやれる冒険的な作品。第2弾も楽しみ。