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映画・演劇のレビュー

『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』

2012-01-17 22:01:51 | 映画
 トム・クルーズの思い入れがしっかりと伝わってくるからこのシリーズは好きだ。単純でただ観客のためだけの娯楽映画を、仕事として嫌々やるというのではなく、彼はこのイーサン・ハントという主人公を心から楽しんでいる。そんな彼の興奮が伝わってくるから、このシリーズはホットな映画となるのだ。

 更に過激に、エキサイティングな映像を見せるためハードルを上げるのは、以前のジャッキー・チェンみたいだ。でも寄る年波には勝てない。そろそろ年貢の収め時って感じで、そろそろ辛くなるのではないか、といういらぬ心配をものともせず、究極のアクションに挑んだシリーズ第4作である。

 今回は監督にアニメーション監督で『ミスター・インクレディブル』や『レミーのおいしいレストラン』のブラッド・バードを大胆にも起用した。その結果、これは、ただのアクションではなくとてもハートフルな作品となった。アクションの連打だけなら、だんだん疲れてくる。そんな映画は多々ある。この映画がそんな映画と違うのは、イーサンのチームがなんだか家族みたいな結束があり、みんなで大きな冒険に挑戦しているというワクワク感があるからだ。ただのアクションにはしないのがいい。

 それにしてもこれは凄いアクションだ。ドバイのタワーでの命懸けのスタントには感動する。CGでなら何でも出来るこんな時代に体を張って、生身のスタントをこなす本物志向は、見上げたものだ。トムはそれを楽しんでいる。彼は、この『スパイ大作戦』というおもちゃでどこまで遊べるのかに挑戦しているのだろう。だが、そこには悲壮感はない。娯楽映画としての矜持を忘れず、観客へのサービスをまず第1義として、その上で、自分たちが楽しむ。自分たちの楽しむ姿は同時に観客をしあわせにする。

 映画としてどうこうとか、そんなことはここでは関係ない。これは何も考えず、ただただひたすらドキドキワクワクさせられて、楽しければそれだけでいい、そんな映画である。2時間18分もの長尺だが、どんどん舞台を変えていき、それぞれ派手な、でも、大味にはならない見せ場を用意して観客を楽しませてくれる。おもてなしを大事にするトム・クルーズの人柄がよく出たお正月用の娯楽活劇超大作だ。大ヒットも肯ける。


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