今回は浪花グランドロマンの浦部喜行によるオリジナル。3話からなるオムニバス。(それは、いつものことだが)
浦部さんが、今の彼女たちの等身大の姿を描く。さらりとしたタッチで小さな喜びと寂しさを見せてくれる。いずれも50代の女性たちが主人公だ。もう充分大人である女たちが、それでもくよくよする姿が微笑ましい。でも、大人としての矜持をきちんと守るのが素敵だ。夫を失い、新しい恋に踏み出し、後悔を乗り越え、3つの話でそれぞれ女たちは少しずつ成長していく。
幽霊になった夫が自分の葬儀に参列する話や、ひとり暮らしになった母親の心配をする娘の話や、昔失った大事な友人たちと再会する話とか、3話とも設定がうまい。そのアイデアをこれ見よがしに見せるのではなく、さらりとしたタッチでさりげなく提示していく。お話に引っ張られていくのではなく、あくまでもそこにいる主人公の女性たちの想いに寄り添っていくのだ。そしてそんな彼女たちを支える周囲の人たちとの物語。
お話自体はたわいもないハートウォーミングと言われてもしかたがないような作品なのだが、ただ甘いばかりのものではない。確かにそんなことってあるよな、と思わせてくれるところで止める。そんな節度を守る控えめさがいい。バランスがいいのだ。コメディにはしない。確かにこれはちょっとしたシチュエーション・コメディなのだが、それを仕掛けとして際立たせることはない。さりげなくて、口当たりがいい。浦部さんはあみゅーずのよさを知り尽くしているから、こういう作品を作れたのだ。彼女たちに宛て書かれた作品だけど、押しつけがましさはない。