この映画には「あなたの人生を変えることになるかもしれない体験」なんていうようなキャッチ・コピーが付けられている。まぁ、宣伝なので、信じなくてもいいんだけれど、信じることにした。芝居と芝居の間で、たまたまちょうど2時間時間が出来て、そこにどんぴしゃで入るラッキーな映画がこれしかなかっただけなんだけど。で、それも運命か、と思い劇場に入った。喫茶店で2時間読書をするという選択もありだったのだけど、出来ることなら貴重な時間に1本でもなんか映画が見たい気分だったからだ。
ただ、何度となく目にしていたこの映画の予告編から受ける印象は最悪だった。人間がネコの着ぐるみで登場するというこの映画のスタイル(というか、オリジナルの舞台を踏襲しただけなのだけど)が受け入れ難い。20年ほど前に劇団四季によるステージも見ているけど、あまり印象には残っていない。大ヒットしたミュージカルだけど、僕はつまらなかった。乗り切れなかった。それだけに、この映画はたとえ監督がトム・フーパーであろうとも、きっと苦しいと思った。予想通りだ。
始まって20分ほどでやはり、無理と思うことになる。ミュージカル自体が苦手ということもあるけど、このファンタジーがあまりにも作り物すぎて、お話に乗り切れなかったのだ。CGによるアニメのような世界も影響した。この世界の虚構性が心地よくはない。だからそこにはもう奇跡なんか生じない。すべてが嘘臭いし、見ていて鼻白むばかりだ。夢のような2時間ではなく,退屈で寝てしまって夢の中、という感じだった。ほかの映画が見たかった。