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野中柊初の短編集らしい。そういえば今まで長編か中篇しか読んだことがなかった。でも、なんだかすごく意外。読み終えてそのなめらかな語り口に魅了される。すっと入ってくる。口当たりがいい。上等のワインをゆっくりと味わいながら飲んだ気分(まぁ、そんなもの飲んだことないし、飲んでもあまり味なんてわからんはずだが、まぁ、言葉の綾ということで)で、夢見心地で気持ちがよい。
さまざまな形の恋愛小説集だが、どの作品も胸にずんと落ちてくる。けっこう性的なことも扱い今までとはタッチが違うので少し戸惑う。だが、ここに描かれるささやかで密やかな気分は、誰もが心当たりのあることではないか。なんだか懐かしくほろ苦い。昔々の映画で『おもいでの夏』という思春期の少年が年上の人妻に恋をするというけっこう危険な話なのに、とても切なく淡い恋物語を思い出した。
僕は、姉と妹の話である『銀の糸』がすごく好き。平凡で幸せな結婚生活を送る妹と、彼女のところにやってくる姉。2人の時間。「また恋をしようかな」という姉と、今夜は彼の寝顔にキスしよう、と思う妹。昼下がりの姉妹の会話劇。それが実にいいのだ。お話の輪郭が淡すぎて消えてしまいそうな感触が心地よい。
他の5編も同じだ。だが、最後の『祝福』はちょっと作りすぎかなぁ。最初の『しゃぼん』くらいが一番いい感じ。いくつもの恋をして、それがいつも受身で、でも決して流されてきたのではなく、今こうして子供もいて、結婚して、幸せで、それはここまでのことが繋がった果てのことで、でも今は娘と2人で暮らす。そんな自分に満足してる。ラストの再会もそれまでのお話があるから信じれる。
さまざまな形の恋愛小説集だが、どの作品も胸にずんと落ちてくる。けっこう性的なことも扱い今までとはタッチが違うので少し戸惑う。だが、ここに描かれるささやかで密やかな気分は、誰もが心当たりのあることではないか。なんだか懐かしくほろ苦い。昔々の映画で『おもいでの夏』という思春期の少年が年上の人妻に恋をするというけっこう危険な話なのに、とても切なく淡い恋物語を思い出した。
僕は、姉と妹の話である『銀の糸』がすごく好き。平凡で幸せな結婚生活を送る妹と、彼女のところにやってくる姉。2人の時間。「また恋をしようかな」という姉と、今夜は彼の寝顔にキスしよう、と思う妹。昼下がりの姉妹の会話劇。それが実にいいのだ。お話の輪郭が淡すぎて消えてしまいそうな感触が心地よい。
他の5編も同じだ。だが、最後の『祝福』はちょっと作りすぎかなぁ。最初の『しゃぼん』くらいが一番いい感じ。いくつもの恋をして、それがいつも受身で、でも決して流されてきたのではなく、今こうして子供もいて、結婚して、幸せで、それはここまでのことが繋がった果てのことで、でも今は娘と2人で暮らす。そんな自分に満足してる。ラストの再会もそれまでのお話があるから信じれる。