大評判になり現在もロングラン中のこの映画を見る予定はなかった。上田誠じゃないし、ましてや『戦国自衛隊』の時代じゃないのにこんな話を映画にする時代錯誤には付き合いきれないという偏見からだ。というか、まるで興味がなかった。『カメラを止めるな!』はホラーだったし、あんな自主映画なのにあの手の大ヒットは初めてだったからついつい大劇場で見た(なんと当時東宝シネマズのラージスクリーンで上映された!)が、これはもういい、と思っていた。しかし、たまたま今日時間が出来て上映時間もドンピシャに合ったのでこれは運命だと思い見ることにした。
確かになかなか面白かった。だけど残念だが僕はあまり買わない。悪い映画ではないし、低予算の自主映画だけど、そんなこと感じさせないくらいにしっかり作られてある。無名俳優たちがいい味を見せてくれる。話も前半部分は悪くない。ただ後半の展開は小さく納めすぎた。仕方ないのかもしれないが。
ただ2時間11分というそれなりの長尺をなんとか最後まで引っ張ってくれたのは立派。タイムトリップして幕末から現代にやって来たサムライが、東映太秦撮影所で時代劇の斬られ役になり大活躍するなんていうノーテンキなお話を成立させた。主人公があまり悩まないのがいい。
これは分類したらたぶんコメディ時代劇だけど、あざとい笑いを目指すのではなく、この設定を(一応は)シリアスに見せていくことで結果的に笑わせてくれるというのは正解だと思う。だけどそこまで、である。「歴史は俺たちに何をさせようとしているのか?!」とかいうような深刻な話にはならないけど、これではあまりに話が浅いし、薄っぺらい。