大ヒットTVシリーズの映画化、といういつものパターンである。だけど最近はこの手安易なTV局製作映画の惨敗が続いている。そんな中、この作品は昨年の秋に公開されて50億に迫るまさかの大ヒットを記録した。
菅田将暉が主演している。だが、そのおかげではない。だって今年の秋(今ですね)公開中の彼が主演した黒沢清の新作『クラウド』は大惨敗している。その差は何なのか、なんてことも気になってまず、配信スタートしたこれを見ることにした。
呆れるくらいにつまらない。お話に説得力がないし、こんなバカな話でよくもまぁ1本の映画を仕立てるなんていう無謀な賭けに挑んだ。作品としては惨敗である。と思った。だけど、何がそんなに受けたのかが気になって映画.comの感想投稿を見た。この緩さが好評の原因かと思われる。TVでは東京が舞台で町で起きた小さな事件を主人公が警察と協力して解決する、とかいう感じの話みたいだ。TVシリーズは見ていない。ラストのクレジットを見て伊藤沙莉や尾上松也、筒井道隆の名前を発見して驚く。出てなかったやん、と思う。そんな見落としするのか、と思う。するとエンドクレジットの後,彼らが出てきた。3人はTVシリーズのレギュラーで今回の番外編の本編には登場しなかったということみたいだ。(なるほど!)
映画は原作漫画の番外編である「広島編」の映画化ということらしい。菅田自身がいうけどこれは現代版『犬神家の一族』みたいな設定である。だけど最初に描かれる事故死だけで、その後では人は死なない。菅田将暉演じる天パの大学生が地方の大富豪の遺産相続に巻き込まれて謎を解決するという話。漫画さながらの(漫画だけど)設定展開には閉口するけど、主人公の飄々としたキャラクターには好感が持てる。たしかに石坂浩二の金田一さんに通じるものがある。しかもちゃんと死者を出さないで事件を解決する。
これは絵空事だから、この心地よい雰囲気を満喫すればいいだけの話なのだろう。整くん(菅田将暉)と旅する観光映画だと思うとすべてが許される。たぶん。