仇討法が施行される世界を描いた『フリージア』を見た直後だったので、予算の違いもあるけど、この作品が必要以上に興味深く見れた。メディア良化法の下、書籍への検閲が罷り通る世界で、その暴力に抵抗するため図書隊が設立されたという世界が舞台となる。焚書坑儒の歴史を踏まえて言論の自由が微妙に歪められた世界にどれだけリアリティーを与えることができるのかが、この作品の成否のポイントとなる。
佐藤信介監督もその点をちゃんと理解し、この世界観を構築することをとても大切にしている。そのための戦闘シーンも手抜きはしない。実写映画化はまずそういう部分で躓く。だが、大事なことは派手な見せ場を用意することではない。まず、ここに描かれる現実としてのパラレルワールドが嘘くさくならないように映画を成立させることが急務だ。作り手はそのことをしっかりと理解しているから、とても慎重だ。これはマンガではなく、ありえたかもしれない現実の出来事なのである。
図書隊という存在にリアルをもたらすためには、書物という知の文化が人間形成におけるとても大切な譲れない側面を持っており、そのためには命を投げ出す覚悟が必要だという事実を誰もが切実に納得しなくてはならない。(映画の中の大衆は無関心でもいいが、観客である我々はそう思わなくてはこの映画は成立しない)言論、思想の弾圧が人々にどんな未来をもたらすのか、その恐怖がもっと前面に出てこないと、この切実さは絵空事になる。
ラブストーリーを基底に持ち、アクション映画で、コミカルな部分もたくさんあるという骨格は構わない。しかし、これは生きていくための戦争なのである、という部分は、もう少し明確に打ち出されてもよかったのではないか。なのに、一番大事なところでそれがただの戦争ごっこにしか見えないようでは、この作品の意味はない。
もちろん、マーケットの問題もあり、あまり残酷な描写はできないのかもしれない。だが、こういう興味深い内容の大作なのに、なんか、今一歩のところで嘘くさくて安っぽいものになってしまったのがなんとも残念だ。
佐藤信介監督もその点をちゃんと理解し、この世界観を構築することをとても大切にしている。そのための戦闘シーンも手抜きはしない。実写映画化はまずそういう部分で躓く。だが、大事なことは派手な見せ場を用意することではない。まず、ここに描かれる現実としてのパラレルワールドが嘘くさくならないように映画を成立させることが急務だ。作り手はそのことをしっかりと理解しているから、とても慎重だ。これはマンガではなく、ありえたかもしれない現実の出来事なのである。
図書隊という存在にリアルをもたらすためには、書物という知の文化が人間形成におけるとても大切な譲れない側面を持っており、そのためには命を投げ出す覚悟が必要だという事実を誰もが切実に納得しなくてはならない。(映画の中の大衆は無関心でもいいが、観客である我々はそう思わなくてはこの映画は成立しない)言論、思想の弾圧が人々にどんな未来をもたらすのか、その恐怖がもっと前面に出てこないと、この切実さは絵空事になる。
ラブストーリーを基底に持ち、アクション映画で、コミカルな部分もたくさんあるという骨格は構わない。しかし、これは生きていくための戦争なのである、という部分は、もう少し明確に打ち出されてもよかったのではないか。なのに、一番大事なところでそれがただの戦争ごっこにしか見えないようでは、この作品の意味はない。
もちろん、マーケットの問題もあり、あまり残酷な描写はできないのかもしれない。だが、こういう興味深い内容の大作なのに、なんか、今一歩のところで嘘くさくて安っぽいものになってしまったのがなんとも残念だ。