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なんと55回目の公演になるらしい。しかも、5年5ヶ月ぶりの公演。平日の3日間、5回の公演。(なんだかやけに「5」がこんなにも並ぶのが面白い)しかも、そのうち2日は昼の回の公演もあるという変則的な上演は大阪ではめずらしい。さらには夜の回はレイトショー時間である8時からだ。これはちょっとした新しい提案にもなっているのではないか。芝居自体も70分と短いのは当然のことなのかもしれないけど、その短さは確かに作品の力になっているのがいい。作品自体が小さなお話として閉じる。欲張らない。
小さな島が舞台だ。何もない島にやってきた旅行者と、島の住民とのささやかな交流を描く。登場人物も6人のみ。兄と、島を離れた妹。妹がまた、(今までも何度となく)恋人を連れて帰ってくる。兄はもううんざりしている。また、しばらくしたら別れる。これまでもそんなことの繰り返しなのだ。この兄妹と幼なじみの女性。彼女は妹と同級生で、兄のことを慕っている。小さな島だから若者は彼らくらいしかいない。そんな彼女が呼び寄せたとある女性がここにやってくる。外から来た旅行者である彼女と島に住民である彼らとのやりとり。そこに生じる小さな諍いやふれあい。それがさらりとしたタッチで描かれる。
少し説明過多なのが気になるけど、見ている分にはあまり気にならない。チラシにある「何の特徴もない、小さな島、ある日突然姿を消してしまっても、殆ど誰も気づかないような」という文が印象的だった。この芝居が、そんな不安や恐怖も描いていたならもっと面白い作品になったのではないか。惜しい。
これではあまりに当たり障りがなさ過ぎて少し退屈なのだ。でも、そんな退屈さこそが作、演出のマツキクニヒコが描きたかったものなのかもしれないけど、そこは伝わり切れていない。ちょっとしたファンタジーのような世界を見せたかったのだろうが、そこも、そこまではいかないままで終わる。要するに、いろんなところで中途半端なのだ。