習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『それでも生きる子供たちへ』

2008-04-02 19:10:53 | 映画
 7話からなるオムニバス映画。この世界にかたすみで過酷な現実と闘いながら生きている子供たちの痛ましい姿を短いスケッチで描く短編連作。

 新鋭からベテランまで、世界を代表する監督たちが、それぞれの住む場所(あるいはよく知っている場所)を舞台にして20分にも満たない映画を通して鮮烈な描写で子供たちの生き様を描いていく。その切り口もさまざまだ。しっかりした物語の枠組みの中で描く作家もあれば、ドキュメンタリータッチで荒々しく切り取って見せる作家もある。それぞれのスタイルは、彼らにとってベストなやり方で子供たちのありのままの姿を見せるためのアプローチなのだ。

 7つの映画は7つの国、地域を舞台にする。武器を手にして人を殺す、盗みを繰り返す、HIVに感染した両親を持つ、等々。いずれのエピソードでも、子供たちは絶望的な状況に置かれている。しかし、タイトルにもあるように、彼らはそんな世界であってもそこで生きてるし、生き抜いていこうとする。

 各エピソードのラストはそんな子供たちのアップで終わるものが多い。そんなところにもこの映画の主題は明確だ。エミール・クストリッツアはいつものタッチでこの作品に合流し、リドリー・スコットは娘と共作という形で作品を提供し、ジョン・ウーがとても繊細な作品でこの映画に参加している。いずれの作品もとても気合いの入った秀作揃いである。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『赤い文化住宅の初子』 | トップ | 『キサラギ』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。