習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『キサラギ』

2008-04-02 19:30:17 | 映画
 昨年大ヒットしたシチュエーションコメディーをようやく(DVDで、だが)見た。期待を遥かに上回る傑作である。こんなにもよく出来ているなんて、正直言って思いもしなかった。

 ストーリーの面白さと、意外な出来事の連続技で、ドンドン引き込まれていく、何度も続くどんでん返しには、呆れるやら驚くやらで、しかも新事実を通して、勘のいい観客ならスクリーンよりもほんの少し早く次の展開が読めるように作ってあるのが、とても心憎い。

 見事としかいいようがない作品である。ラストのラストまで一瞬すら、気を抜くことが出来ない。たった5人しか出てこない密室劇。ワンセットで派手なアクションなんかもちろんない。地味な会話劇である。マイナスの要因ばかりに見える設定が、すべてこの映画にとっては武器になる。

 そこそこに面白かったならいい、なんて思っていた僕は浅はかだった。こういう映画がこんなにも目立つところにあり、見逃していたなんて。これをノーマークにしていた自分に腹が立つ。

 マイナーアイドル如月ミキが自殺した。それから1年。チャットで知り合ってお互いの顔も知らない彼女のディープなファン5人が集まり、ミキちゃんの1周忌を行う。彼らの会話の中から彼女の死は自殺ではなく殺人だったのではないかという新事実が浮かび上がる。

 ぜひ、自分の目で確かめて貰いたい。小さなくすぐりから、あっと驚くストーリーテリングの妙まで、地味な映画と見せかけといて、とんでもない仕掛けが満載されている。これは必見の娯楽映画。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『それでも生きる子供たちへ』 | トップ | 『ボルベール 帰郷』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。