奈良、京都、大阪ときて、今回は滋賀である。関西ご当地巡りの様相を呈してきた。次は兵庫か、はたまた和歌山か。まぁ、万城目学はただ冗談のように舞台を決めてるようでいて、実はちゃんと取材して綿密な計画のもと、書いているのだろうから、舞台となる場所はどこでもいい。どこを舞台にしようともそこでしか作れないオリジナルな設定を展開してくれる。そんなことより、面白いかどうかだ。いつも突飛な話をまるで本当のように見せて行く。その手腕は今回も遺憾なく発揮される。
ありえない、と唖然とさせる設定である。それが荒唐無稽ではなく、なんだか微妙にリアル。その点もいつものごとく、なのだが、いつもマンネリにはならない新鮮さ。そこが凄い。前半の何も起きない日常のお話がすばらしい。彼らにとってはただのありふれた日常が僕たち読者や、主人公である涼介にとってはとんでもないこととなる。その落差がこの小説の肝だ。この家の後継ぎである淡十郎のポーカーフェィスがこのとんでもない話を加速する。
静かな田舎町石走の街並みが、すばらしい。(まるでこの町にやってきた気分にさせる。主人公の涼介とともにここに来た気分だ。当たり前のことかもしれないが、いつも導入がすばらしい。)そこを牛耳る日の出家一族のありえないよな殿様ぶり。というか、彼らはお城に住んでるし。殿様そのものなのだ。この町は日の出家の力でもっている。
前半は、涼介を通して、彼ら日の出一族の生活の描写だけで話をひっぱる。だが、やがて、本題となるドラマに入ってくると、急に力を失う。荒唐無稽は日常描写にある。だから、非日常の巨大な敵との戦いなんていうどこにでも転がっている勧善懲悪のルーティーンに嵌るとまるでつまらなくなる。安物のヒーローものではないのだから、そういうのはなしにしてもらいたい。
まぁこれは彼のいつものパターンだ。『プリンセス・トヨトミ』もそうだった。あんなにも面白かったのに、途中から尻つぼみする。おっぴろげた大風呂敷をどう収めたらいいのか、わからないまま、無理して終わらせる。なんか当たり障りのないところで、まとめてしまうのだ。2つの一族(日の出家と棗家という不思議な能力を持つ2つの一族がこの町には、いた。そして今もいる)の1000年にわたる諍いとか、そこに謎の校長(彼はもともとこの石走の城主だった一族の末裔)が現れて、彼ら2つの一族をこの町から追い出すことにする、とか。さらには龍神が出てきて、とか。別にいいけど、もう少しなんとか、して欲しい。前半の大ボラが可愛くなるようなエスカレートのさせ方が欲しいのに、つまらないルーティーンへと収束していく。これでは、せっかくの前半の驚きさえ色褪せてつまらないものになる。後半に関しては今までで一番しょぼい。でも前半は、今まで並みに凄かった(それじゃぁ、ダメじゃん)のに。
ありえない、と唖然とさせる設定である。それが荒唐無稽ではなく、なんだか微妙にリアル。その点もいつものごとく、なのだが、いつもマンネリにはならない新鮮さ。そこが凄い。前半の何も起きない日常のお話がすばらしい。彼らにとってはただのありふれた日常が僕たち読者や、主人公である涼介にとってはとんでもないこととなる。その落差がこの小説の肝だ。この家の後継ぎである淡十郎のポーカーフェィスがこのとんでもない話を加速する。
静かな田舎町石走の街並みが、すばらしい。(まるでこの町にやってきた気分にさせる。主人公の涼介とともにここに来た気分だ。当たり前のことかもしれないが、いつも導入がすばらしい。)そこを牛耳る日の出家一族のありえないよな殿様ぶり。というか、彼らはお城に住んでるし。殿様そのものなのだ。この町は日の出家の力でもっている。
前半は、涼介を通して、彼ら日の出一族の生活の描写だけで話をひっぱる。だが、やがて、本題となるドラマに入ってくると、急に力を失う。荒唐無稽は日常描写にある。だから、非日常の巨大な敵との戦いなんていうどこにでも転がっている勧善懲悪のルーティーンに嵌るとまるでつまらなくなる。安物のヒーローものではないのだから、そういうのはなしにしてもらいたい。
まぁこれは彼のいつものパターンだ。『プリンセス・トヨトミ』もそうだった。あんなにも面白かったのに、途中から尻つぼみする。おっぴろげた大風呂敷をどう収めたらいいのか、わからないまま、無理して終わらせる。なんか当たり障りのないところで、まとめてしまうのだ。2つの一族(日の出家と棗家という不思議な能力を持つ2つの一族がこの町には、いた。そして今もいる)の1000年にわたる諍いとか、そこに謎の校長(彼はもともとこの石走の城主だった一族の末裔)が現れて、彼ら2つの一族をこの町から追い出すことにする、とか。さらには龍神が出てきて、とか。別にいいけど、もう少しなんとか、して欲しい。前半の大ボラが可愛くなるようなエスカレートのさせ方が欲しいのに、つまらないルーティーンへと収束していく。これでは、せっかくの前半の驚きさえ色褪せてつまらないものになる。後半に関しては今までで一番しょぼい。でも前半は、今まで並みに凄かった(それじゃぁ、ダメじゃん)のに。