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映画・演劇のレビュー

『めぐりあう日』

2018-05-09 22:38:15 | 映画

 

ウニー・ルコントの第2作.前作『冬の小鳥』から6年。韓国からフランスに舞台を移し、前作の続編のような物語が再びここに綴られる。

 

『冬の小鳥』の孤児院に入れられていた少女は、頑なに、そして、ひたすらに、母親が迎えに来るのを待ち続けた。あの少女が大人になり、結婚もして、子どももいる、とでもいうようなこの『めぐりあう日』の設定が面白い。ここでも、彼女は自分を棄てた母親のことが忘れられない。30になった今もずっと母親を求めているようだ。映画は冒頭、覚悟を決め彼女が自分を棄てた母親探しを始めるところから映画は始まる。

 

もちろん、韓国とフランス、主人公を潜る状況もまるで違うけど、2本の映画が連続するように見える。監督の自伝的作品であるからなのだが、それだけではなく、彼女の中に或る魂の叫び(のようなもの)が同じなのだ。それが切実に伝わってくる。ルックがこんなにも違うのに、2本はまるで姉妹編のように見えるのって凄い。

 

主人公の女性だけではなく、彼女を棄てた母親も、彼女の幼い息子も、彼女が距離を置こうとする夫も、ここに登場するみんなが孤児のように見える。誰かを求めているのに、それを上手く伝えきれないで、傷つく、傷つける。とても痛ましい映画だ。

 


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