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映画・演劇のレビュー

『告白 コンフェッション』

2024-10-02 05:29:00 | 映画

今年快進撃を続ける山下敦弘監督によるミステリー映画である。彼がミステリーなんて初めてではないか。しかもホラータッチのアクション映画である。そんなジャンルも初挑戦ではないか。まるで山下映画らしくないけど、どうしてこれをやることにしたのだろうか。本人の希望なのか、たまたまオファーがあったのか。それを引き受けただけか? 慣れないことをするから失敗したのか? いや、これは確信犯なのか。さまざまな憶測をしてしまうような問題作である。

 
つまらないわけではないけど、完成度は低い。ツッコミどころ満載。だいたい78分ってなんだ? 劇場用長編映画としては短すぎる。なんだか、損をした気分になる。アート系映画ならわかるけど、娯楽活劇映画の尺数ではない。昔の2本立映画の併映作ならわかるけど、今は1本立興行の時代である。商業映画としてはあまりないパターンである。しかも登場人物は(基本)たったふたりだけ。山小屋の中の密室ドラマ。生田斗真とヤン・イクチュン。意表を突いたキャスティングだけど、いささかマニアック。短編映画の切り口で地味な内容。これなら78分でも長い。だからアクションが延々と続く。いささか間延びする。30分くらいの短編でいい。だけどそれを長篇劇映画に仕立てた。かなり無理がある。だけど無理を承知で作ったって感じだ。
 
いろんな意味で不思議な作品である。こういう映画が時々作られるようになった。ワン・シチュエーション、ワン・アイデアの作品。同じ大阪芸大出身の熊切和嘉監督の昨年の作品『マンホール』もこんな感じだった。
 
この映画自体の話もしよう。まるで舞台劇のような作品で映画としての広がりがないし、ラストがあまりに安直でガッカリだ。褒められたものではない。ふたりの関係性ももう少し書き込みが欲しい。いろんな意味で残念な映画である。
 
それにしても、ほとんど死体役の奈緒はよくこんな仕事を引き受けたな、と思う。彼女のファンはガッカリするだろう。

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