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映画・演劇のレビュー

『インディージョーンズ クリスタルスカルの王国』

2008-06-23 22:16:20 | 映画
 なんと19年の歳月を経てインディージョーンズの最新作の登場である。今から27年も前、第1作をこのナンバTOHOシネマズの前身である南街劇場で見た。あの時も公開に初日、朝早くから並んで見たことを覚えている。

 今日公開初日に駆けつけたのは偶然だし、ナンバTOHOで見たのもたまたまだが、なんだか、運命的なものを感じてしまった。まだ、学生の頃、映画が大好きでスピルバーグの新作に心ときめかせていた頃が懐かしい。

 さて、今回のシリーズ第4作だが、正直言って退屈だった。始まる前はあんなにドキドキしていたのに、いざ始まってみるといつまでたっても楽しくならないし、ドキドキもしないことに驚いていた。こんなはずではない、と何度思った事か。僕の感覚が麻痺しているのか、映画自体がだめなのか、よくわからない。だが、刺激が強くなりすぎて、こういうクラシックな冒険活劇が、食傷気味になった現代、昔のように無邪気にはなれなくなってしまったことも事実であろう。なんだか、がっかりだ。

 あきらかに原点帰りがなされたこの新作は1957年という微妙な設定も含めて、いろんな意味で迷いだらけの映画になった。単純な活劇とするには、最初の原爆実験のシーンは後味が悪いし、それが後に尾を引かないのも、中途半端すぎる。次から次へとアクションが続くペルーでのシーンは車による追っかけ、3度に渉る滝からの落下、さらにはクリスタルスカルの王宮のシーンも含めて、あまりにおきまりの展開をのんびり見せられ、いささか閉口させられた。

 スピルバーグが歳を取ってしまったからか、それともわざとこういう定番を見せているのか、そのへんも微妙だ。どちらにしてもこの映画に乗りきれなかったことだけは事実で、それが何だか悲しい。

 こんなにも待ち望んでいた映画を素直に楽しめなかったことはショックだと言ってもいい。期待が大きすぎたのかもしれない。だけど、この映画に必要以上の期待を寄せないことは失礼というものだろう。天下のスピルバーグとルーカスが放つ渾身の大作である。期待しないほうがおかしい。

 それにしても、インディーはじめ登場人物が老人ばかりで、(インディージュニアはいるが)なんだか老人たちによる冒険活劇の様相を呈しているのはおもしろいような。なんだか困ったような。老いてもずっと冒険心を失わないで、世界を股にかける、ってなんだかなぁ。

 これが老人をターゲットにした映画に見えるのも、時代の推移とはいえ、もともとのインディージョーンズとはちょっと違うような気がして納得がいかない。夢と冒険がいっぱい詰まった無邪気な子供心が、この映画の身上だったはず。老人の話は既に前作『最後の聖戦』でショーン・コネリーの父親が見てくれている。何をいまさら、しかもインディージョーンズ自身が老人になるだなんて、しゃれにもならない。

 初めて第2作『魔宮の伝説』を見た時の驚きと興奮が忘れられない。思い返せば第1作を見た時も最初のつかみのシーン以上の驚きがなくて、不満を抱いて劇場を出た記憶がある。今回の不満はなんとなくあの時のそれに近い。

 なんだかんだと言っても、この映画にはいろんなことを考えさせられる。ハリソン・フォードは老いてなおかっこいい。それは凄いことだ。

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