公開初日の2月28日に、たまたまこの映画を見ていた。でも、ここに書くのを忘れていた。『1917』を見るために仕事の帰り、劇場に行ったらちょうどこの映画が始まる時間で『1917』までのつなぎにちょうどよかったので(6時台に上映があるだろうと思って行ったのに8時からだった) 見たのだ。
ハリソン・フォード主演のアドベンチャー映画で予告編は何度も見ていたし、それなりには面白そうだったので、もしかしたら拾い物かも、と偶然に期待したのだけど、予定調和の可もなく不可もなくの映画で見た瞬間に忘れていた。
もちろん悪い映画ではない。だけど、どうしてハリソン・フォードがわざわざこれに出ようとしたのかがわからない。ファミリー向けの甘い映画で、丁寧に作られてあるけど、驚きはない。大きなスクリーンで上映されていたならもっと迫力があり、楽しめたかもしれないけど、公開初日から小さな劇場での上映だったので、それもない。粗が見える。映画自体の魅力で引っ張るしかないのに、それは無理。
主人公の冒険家がなぜ旅をするのかをもっと突き詰めて描いたなら人間ドラマとして興味深いものになったかもしれない。しかも、演じるのが『スターウォーズ』や『インディー・ジョーンズ』でとんでもない大冒険を繰り広げてきたハリソン・フォードなのだ。彼が年老いてリアルな老人としてリアルな冒険の旅に出るのである。そこに「何か」を期待してしまうのは映画ファンとしては当然のことではないか、だから最初にも書いたように、「今、彼がこの映画に出ることで何を見せようとしたか」、それが気になったのだ。
たまたま出会った犬とふたりで見たこともない冒険に旅立つ。監督は『ヒックとドラゴン』や『リロ&スティッチ』の監督だと知り、じゃぁ、これも同じパターンなんだな、と納得する。人間と動物のバディもの。今回はアニメではなく実写だけど、基本のテイストは変わらない。クリス・サンダース監督はもっとハリソン・フォードを生かすべきだった。せっかく彼をオファー出来たのだから、今までのパターンを踏襲するのではなく、その先へと進むべきだった。子供向けのアニメではなく、映画としての矜持を持ち、冒険についてあなたの考えをハリソンを通して提示して欲しかった。こんなふうに安全圏で勝負する映画でしかないのでは、せっかくの素材がもったいない。