『メッセージ』『ブレードランナー2049』のドゥニ・ビルヌーブ監督の最新作であり3本目のSF映画。だけど期待したほどではない。いきなりタイトルで「PART ONE」と出たのには驚いた。確かに膨大な原作のすべてをこの1本の作品になかに注入するのは不可能だろうけど、続編の製作が決まっていないにもかかわらず、このタイトルはないだろう。それもまた作り手の覚悟の表れなのだろうけど、最初から1本で完結しないという意志表示は、なんだかなぁ、とも思う。しかも、映画がとてもゆっくりとした展開で、なかなか話が進まないのでイライラさせられる。圧倒的なビジュアルにはため息が出るけど、でも、それもだんだん飽きてくる。お話で引っ張ろうという気がないようだし、途中だんだん眠くなる始末だ。2時間35分の大作だけど、この程度のお話なら2時間にまとめてくれた方が見やすい。
エンタメ映画ではないのだろうけど、それにしても、退屈。同じように圧倒的なビジュアルだった『ブレードランナー2049』がとても好きだっただけに、今回の出来にはがっかりした。と、書きつつもそうかな、と思う自分もいる。この映画のテンポの悪さは明らかに確信犯だ。圧倒的な砂漠のなかで、翻弄されこれからどこに向かうのか、何が起こるのか、どうすればいいのか、まったくわからないまま運命に翻弄される主人公の姿を、ドゥニ・ビルヌーブはストーリー以上のビジュアルの中に叩き込んだ。
だからこれは正直言うとアイマックスの巨大スクリーンに放り込まれて見るべき映画だったのではないか、と今は反省している。シネスコになると上下が狭くなるという現在のシネコンの中小スクリーンで見る映画ではない。せめて大きな劇場でちゃんとシネスコになると横に広がるスクリーン仕様の劇場で視界から砂漠以外のものをすべて取り除いて体感すべき映画だったのかもしれない。僕のようにすぐストーリーを追いかけてしまうタイプの観客さえ圧倒させてしまう映画体験なのかもしれない。